木曜日, 10月 05, 2006

エタノールから水素製造-果たして得策か

現在開発が進められている燃料電池は水素と酸素を化合させてエネルギーを取り出し、結果として水を創り出すだけですので二酸化炭素排出も無く究極のエンジンと言われています。
現在は種々の電解質形式による大規模化、効率向上が押し進められていますが、その他寒冷地対策も問題となっています。又、燃料となります水素の確保が問題で、現在色々な製造方法がありますが、工業的には化石燃料の天然ガスやメタノールから製造せざるを得ないのが難点です。
太陽光発電で海水の電気分解で製造出来れば無尽蔵となりますが、工業的に大規模にするには無理なのが現状です。

朝日新聞に拠りますと、ミネソタ大がバイオマスによって生産されるエタノールから水素を製造する方法を発表したと言うことです。エタノールは、米国ではトウモロコシ等の植物から年間100億リットル生産、ガソリンに混ぜて使われていますが、ミネソタ大グループは「燃やして使うより、水素に転換して燃料電池に使う方が経済的」と見ている。

バイオマス(生物資源燃料)は、空気中の二酸化炭素を取り込み光合成で植物となったものを燃料とすることで、燃焼させても取り込んだ二酸化炭素を排出するだけですので、二酸化炭素増加にはなりません。それをエタノールに転換させガソリンに混ぜて燃焼させることで、オクタン価が上がり窒素酸化物が減少すると言われて来ましたが、今回の研究は更に水素製造によって、より効果的エネルギー変換が可能になる様ですので注目したいと思います。

エタノール燃料について、インターネットに調べますと次の様に書かれていました。残念ながら、日本ではハイオクガソリンに混ぜられているか否か判然としていません。

アメリカでは現在、全国で販売されているガソリンの12%にエタノールが加えられている。環境と健康への害を減らしエンジンのパフォーマンスを向上するためにエタノールが加えられたガソリンは量にして年間150億ガロン(約567億リットル)使われている。ブラジルでは、年間40億ガロン(約151億リットル)のエタノールを国内で生産し、ブラジルで給油されるガソリンには全て少なくとも20数%のエタノールが加えられている。他にも南アフリカやその他の国でエタノール燃料は使われている。

その場合、エタノール燃料はエネルギーを効率的に利用しているかが問題となります。即ち、エタノール燃料が発生するエネルギー量より、原料の作物を栽培したりエタノールを蒸留したりするために消費するエネルギー量の方が多いのではないかという懸念です。米国農務省は「トウモロコシを栽培しエタノールを蒸留するために使われたエネルギー量よりエタノール燃料の方が34%大きなエネルギー量を発揮できる」と結論づけていますし、又、アメリカの或る研究所が行った調査では「最良の農業技術と燃料製造技術を使えば、エタノール燃料は原料のトウモロコシを栽培し燃料を生産するために消費するエネルギー量の2倍以上のエネルギーを生み出すことができる」と述べています。

エタノール燃料がガソリンよりずっと害が少ない燃料であり、有毒排ガスの排出を減らし、そして植物を原料とする再生可能なエネルギー源であり、化石燃料のように精製時や燃料時に地球温暖化ガスを一方的に増加させないことがなにより大切です。エタノールはバイオディーゼル燃料を作るうえでも大切な役割があり、エタノールはメタノールの様に有毒ではないし、なにより簡単な器具を使って自分でも蒸留できることが魅力的です。


しかしながら、エタノールの原料となるバイオマス(トウモロコシ、サトウキビ)は少なく、日本の最大バイオマスである米の稲藁は強い繊維質を生かして他目的に相当使われていますので、この技術適用は難しいかも知れません。
又、エタノールはエチルアルコールそのものであり酒の原料でもありますので、酒税法からの大きな制約も考え、燃料アルコールとしてメタノール並の規制緩和を準備して置く必要がありそうです。

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