火曜日, 7月 17, 2007

SS400とSPHC-フジテック・エレベーターの強度不足問題

フジテック・エレベーターの強度不足問題ではつくづく日本製造業の技術力低下を実感しました。

技術力は組織の総合力によって支えられ、設計、製造、購買、営業の各部門がベクトルを合わせて良い製品を造り上げることにあると言っても良い。
何らかの変更が余儀なくされた時は、各部門が連携をとってより良い製品への設計変更・次善の策を模索する方法が長い間培われて来たのです。その中でも、設計部門においては担当者の考えがOJTで上司からダブルチェック・トリプルチェックされ、設計組織全体の責任として他部門に展開されたのです。

強度部材用のSS400に比べ、板金プレート部材のSPHCは強度的に30%劣るのに、見過ごされたミスは信じられません。
今回の強度不足問題は、購買と設計の連携不足にあると言っても間違い無く、担当者の「少しでも安価な鋼材でも良い」と判断したことにありそうだ。
人間個人の考え方には限界があり、総合的組織判断力に委ねる必要があるのだが、今回は欠落していたと断ぜざるを得ません。
売上高・利益率至上主義の蔓延で、部門内のOJTもままならず、又部門間の連携が破壊され、日本製造業の技術力低下は加速度的に低下しているのだと危惧しています。

SS400 一般構造用圧延鋼材(JIS G3101)
SS(Structural Steel)400:最小引張強さ400N/mm2
用途 車両、建築、橋梁、船舶等の強度部材

SPHC 熱間圧延軟鋼及び鋼帯(JIS G3131)
SPHC(Steel Plate Hot Commercial):最小引張強さ270N/mm2
用途 大型キャビネット、各種機械部品のプレート部材


しかし、「プレート部材を強度部材に使用するとは!」、ISO9000規格をどうのこうのと言う前に、基本的技術判断力に欠けた行為で愕然としてしまいます。