月曜日, 11月 26, 2007

新聞社 破綻したビジネスモデル(新潮新書)

言論の自由が役立つ場面よりも、報道被害の方が目に付く中で、国民は「マスコミは知る権利に本当に応えているのか。寧ろ私権を侵害しているのではないか。マスコミに公共性があるとするなら、具体的に示して欲しい」と問いかけるようになった。実際、ワイドショーの中には自分で自分の首を絞めているとしか思えないものがあります。

著者の河内孝氏は、毎日新聞の営業担当常務を務めた人物で、業界内でも語られない販売の裏側について、生々しく紹介しているのは珍しいかも知れません。

「販売が大変だから改革せねばならない」ことには、全員賛成でした。改革案を役員会に提示し全員一致で決めたのです。身を切る改革に販売局、販売店主達から相当の反発、抵抗が起きることも当然覚悟していました。
結果的には私には想定内の事態が、他の人達には予想外の深刻な事態になってしまい、改革は挫折し、私は退任・退社したのですが、誠に残念でした。


ジャーナリズムを議論するのでなく、ビジネスとしての将来像を見つめることで、これまでの新聞批判本とは違う特異性はあります。
3大新聞と呼ばれて来ましたが、圧倒的に読売、朝日のメガ新聞に差を開けられてしまった、毎日新聞の再生の為に採るべき方向を指し示しているのが本書の狙いの様でした。
それは第三極構想とされ、毎日新聞を中心に産経新聞・中日新聞が業務提携するというもので、中部圏では非常に強固な地盤を持つ中日、首都圏では産経、九州地区では毎日が強い地盤なので、連携すれば全国紙の展望が開けると言うのです。
しかし、毎日サイドの我田引水的な色彩が濃く、連携相手とされる産経・中日側には、危機に瀕した毎日と連携するメリットは少ないのでは懸念せざるを得ません。

結局は、社内改革抗争に敗れた著者が、出版社の力を借りてその改革案を世に問うた著作ですが、読み進む内に社内文書を読まされている感じがして仕方がなく、何とも読み応えが無いのが如何にも残念でした。

水道本管(ダクタイル鋳鉄)の更正工事-多摩ニュータウンの事例

多摩ニュータウンでは幹線道路での水道管の更正工事が始まって久しく、半年を経過しても完了していません。処々に路線規制もあり、アスファルト路面も凸凹でとてもスムーズな走行は出来ません。
当初はねずみ鋳鉄(Gray Cast Iron)管からダクタイル鋳鉄(Ductile Iron)管への更新をしているのかと思っていたのですが、1970年代に開発された多摩ニュータウン地区は最初からダクタイル鋳鉄(Ductile Iron)管が敷設されていた様で、今回は「高度浄水」のコンセプトにも対応した管内エポキシ塗装を更新・更正する工事の様です。

東京都水道局では、平成19年4月からNS形ダクタイル鋳鉄管の採用口径を呼び径75~250mmまでを呼び径1,000mmまで拡大したことに伴い、説明会を平成19年3月に開催しました。
その後の入札結果から、施工企業が選定し、ダクタイル鋳鉄管の直管の管内面塗装を現行の呼び径350mmから呼び径1,000mmまでモルタルライニングからエポキシ樹脂粉体塗装への変更工事を行いますのでお知らせします。
留意事項:
US形ダクタイル鋳鉄管の内面継手管・ダクタイル鋳鉄管推進工法など、管路内での作業を伴うものについては、従来どおりモルタルライニング管としますのでご注意ください。


ダクタイル鋳鉄とは、普通鋳鉄の衝撃に弱い欠点を克服し、鋳鉄でありながら鋼と変わらない強度と伸び特性を持つ「球状黒鉛鋳鉄」。1954年クボタが世界にさきがけて大口径ダクタイル鋳鉄管の製造に成功させ、1957年には遠心力鋳造法によるダクタイル鋳鉄管の量産を実現させた。

厚生省では1991年には「フレッシュ水道計画」を策定、「質の高い水道施設づくり」として21世紀に向けた水道整備の長期目標を示し、地震などの災害にも強い水道を強調した。更にモータリゼーション進展により管路に加わる荷重は一層の増大傾向にあり、広範な地域で発生している地盤沈下と言う深刻な課題克服もあり、ダクタイル鋳鉄管は、瞬間的に発生する巨大な衝撃に耐え、長期間にわたって厳しい圧力に耐える要求に応える戦略素形材として位置付けられている。
又、現代の都市事情・交通事情に見合った新しい施工技術。たとえば「パイプ・イン・パイプ工法」「既設管破砕推進工法」も開発されている。既設パイプをさや管としてその中に新パイプを挿入し管路更新する工法である。パイプ接合を省人自動化する「接合ロボット」の研究開発も進む。「高度浄水」のコンセプトにも対応したパイプ内面処理技術の高度化(内面エポキシ樹脂粉体塗装)も進む。


幹線水道本管がエポキシ塗装となりますと、各家庭への小さな給水管は塩ビ製ですから、これでは全てプラスチック配管で供給された水道水を飲むことになり、プラスチックからは環境ホルモン物質の溶解が懸念されることになります。
この様なシステムを変更することは困難と思われますが、近頃多くなった飲料水・お茶販売なども全てペットボトルで販売されていますので、その不安は消えません。

月曜日, 11月 12, 2007

石油100ドル/バレル時代の衝撃-代替石油の可能性

石油価格の指標となるNY原油 WTIは現時点95ドル/バレルとなっていて、今にも100ドルを超える情勢となるに留まらず150~200ドル/バレルも予測され、生活への影響は甚大になりつつあります。
一方NY天然ガスは8.3ドル/MMBTUで、相場価格は倍額近く上昇しているものの、原油程の高騰とはなっていません。しかし、このままの単位単価ではエネルギー源としての価格比較は難しいので、原油価格を熱量ベースで天然ガスと同じ単位になる様に算出することにしたい。

1バレル=42ガロン(=159リッター)、石油密度8.34lb/ガロン(=0.82kg/リッター)、石油熱量18,000BTU/lb(=10,000kcal/kg)とすると、石油1バレルに含まれる熱量は(42*8.34*18,000BTU)=6.3MMBTUとなる。

即ち、原油 WTI価格は95ドル/6.3MMBTU=15.1ドル/MMBTUとなり、同じ熱量の天然ガス価格に比べて概略1.8倍の価格となっていることに留意したく、やはり原油相場は極めて投機的色彩が強いのです。

日本の電力・ガス各社はLNGバッチ輸送にて25年長期契約で天然ガスを輸入しており、3ドル/MMBTU程度で、現時点驚くほど安価なエネルギー源となっています。
この天然ガスから代替石油を製造し流通させるのが、バイオ燃料と異なり食料穀物市場との軋轢も無く、現時点では最善の方法と考えています。

フィッシャー・トロプシュ(FT)法を用い天然ガスから石油を製造するGTL(Gas to Liquids)商業用プラントが稼働している。
GTL技術により精製した石油は、硫黄やアロマ分(芳香族)を含まず、排気ガス中の煤塵や硫黄酸化物の有害物質が少なく、環境への負荷が小さい次世代エネルギーとして注目されている。
2006年シェル社ではマレーシアの商業用プラントを稼働させつつ、2010年を目途にメジャー他社とも共同でカタールに世界最大規模のGTLプラントを完成させ、普及拡大を図る方針と伝えられる。日本でも石油資源開発で研究が進められていて、2007年9月新潟市で実証プラントの起工式が行われ、2008年の完成を目指すとされている。

このGTL代替石油、原油よりも可採年数が長いとされる天然ガスを利用するので、長期の安定供給が可能とみられている。又、マイナス162℃の液化天然ガス(LNG)とは異なり、常温での流通が可能で、従来の石油インフラが全て使える利点がある。


1年前に記述しました“GTL-クリーンな代替石油”と言う日記はこちらです

石油時代は終わったと極論する人もありますが、ハンドリング容易なことから離れ難いものがあるのです。
しかし、経済発展に合わせて石油供給量を増やすことを画策するのでは無く、省エネを進めて石油使用量を何とか少なくする工夫が、今求められている喫緊の課題だと思っています。