火曜日, 5月 31, 2011

スマートグリッドは何処に行ってしまったのか?

ベース電力となっていました原子力発電が疑問を持たれる様になって以来、東電も自信を持って宣伝していたスマートグリッドの話題はすっかり霞んでしまいました。

太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギーの導入に、スマートグリッドを構築する必要性は高い。
太陽光や風力などは、その発電量が天候や気候に左右され、非常に不安定だ。更に、電力需要が少ない時に供給量が増加してしまうと、送電・配電線に大量の電力が送られ、負荷をかけることになってしまう。そのため、需要と供給のバランスを調整するなどの系統安定化策が不可欠。
具体的には、大型の蓄電池を設置することで電力をプールする方法や、電気自動車の蓄電池としての代替利用、コージェネやガスエンジンといった機器の電力源としての利用など、他の設備に余剰分の電力を移す方法がある。
停電対策よりも再生可能エネルギーの導入のために推進される日本のスマートグリッドだが、その仕組みづくりには、関連する多くの分野からの協力体制が必要になる。


次世代インターネットの経済学-依田高典

2011年現在、日本のブロードバンド・インフラは有線も無線も世界一である。それでも、医療のデジタル・オンライン化は遅れ、中小企業のICT利用も課題が多い。
他方で、インフラ整備で後れを取るアメリカでは、GoogleやAmazonなど時代の寵児が、Microsoftの牙城を脅かす迄に成長した。世界の最富国アメリカのことだ。インフラ整備の遅れは10年で取り戻すことだろう。
その時、ガラパゴス化した日本に何のアドバンテージが残るのだろうか?

そんな思いで、研究テーマをスマートグリッド・エコノミクスと決めた。スマートグリッドとは、ICTを有効利用し、電力系統の効率化を図り、環境に優しい分散型電源の導入を促進し、消費者の省エネ行動の変容を促すエネルギー産業のイノベーションである。
ブロードバンド・エコノミクスと行動経済学の研究成果を一段高いレベルで統合するものと言って良い。


近頃話題となっている「光の道」の根幹となるFTTH(Fiber to the Home)、固定・携帯電話の融合サービスMC(Fixed-Mobile Convergence)にも識見に満ちた解説と提言があり、時宜を得たもので読んでおきたい書籍だと思われます。