日曜日, 5月 20, 2012

米国ノースダコタ州のシェールオイル

昨晩、NHKBSドキュメントWaveで「シェールオイルを掘り起こせ:新石油開発の衝撃」と言う番組で、ノースダコタ州バッケン(Bakken)油田でのオイルブームの様子が放映されていました。 米国は、新技術の開発によりシェールガス層から天然ガスを生産するのに加え、シェールオイル層から原油採掘を開始して、世界一の埋蔵量を保持する国に変貌しつつあり、アメリカンドリームの再来と期待されているのです。 シェールガスとシェールオイル採掘法: ShaleGas シェールオイル開発は1980年代前半に採掘コストが高く、一旦断念となったのですが、近年の原油高騰で、再び脚光を浴び出したのです! 石油産業コンサルタントEPRINC(Energy Policy Research Foundation, Inc.)からノースダコタ州におけるシェールオイルの開発状況に関する特別レポートの寄稿を受けたので、同社の許可を得て掲載する。 Bakkenシェールオイル層とThree Forksシェールオイル層は、Williston Basinの一部を形成しており、カナダ・サスカチュワン州、マニトバ州、米国ノースダコタ州、モンタナ州、サウスダコタ州を取り囲むように賦存している。 Bakkenシェールオイル層の主要生産ゾーンは、主にノースダコタ州西部、サスカチュワン州南部とモンタナ州東部地域にある世界最大の連続した石油集積層であると考えられている Bakken地域では、地表から約1万ft(3048m)地下のシェールロック層に軽質・低硫黄原油が賦存している。Bakkenシェールは3層から構成されており、上部はシェールロック層、中間は砂岩/ドロマイトの層、下部は再びシェールロック層となっている。 今日では、通常、中間の砂岩層を対象に水平坑井が掘削され、フラッキング(水圧破砕法)処理が施される。 Bakken地域の原油生産は採掘コストが高いが、先進的な技術の適用や運用会社のサポート強化によって、50ドル/bbl以上の井戸元価格を確保できる限りは、生産は維持できると考えられている。 フラッキング(水圧破砕法)処理は、掘削孔に高圧水やプロパント(砂、セラミック)、化学薬品を坑井から圧入してこのフラックを広げ、シェールオイル層に含まれる原油を坑井側に流し出す技術で、これに高度のノウハウが必要とされている。 しかし、この技術は完成されておらず、地下水脈への環境汚染が懸念されており、一部の州では規制の動きが強まっており、全てのシェールオイル層が、3000mを越える地下に賦存しているとは言えないことから、更なる技術開発が望まれる情勢にあるらしい。

水曜日, 5月 09, 2012

老いて知力が著しく低下-ウィーナーのサイバネティクスが読み難い

現代の制御・通信理論の原点となって、名著とされるウィーナーの「サイバネティクス」が岩波文庫として復刊されていましたので購入して来ましたが、とても読みにくいのです。 雑音の解析・合成には、非線形装置に無作為入力を与え、その出力をエルミート多項式と密接に関係した直交函数系の明確に定義された級数に展開することであり、非線形回路の解析は、多項式の係数を入力信号のあるパラメータの函数として、平均操作により決定することに帰着する。 曲線の予測を行う装置では、変分法の問題から導き出されるある型の積分方程式は、導波管の問題や、その他多くの応用数学の面白い問題にも出て来ることが示された。 大学時代は工学部ではありましたが、応用数学は好きな講義の一つで多少は勉強もし、直交函数系によるフーリエ変換、ラプラス変換、変分法は成程と習ったものでした。 しかし、会社に就職してからは、行列、全微分法、偏微分方程式を適用させることはあっても、積分方程式展開に至ることは無く、何時しか知識は忘却の彼方となっていたのです。 ギブズの統計力学には、時間平均と位相平均が出て来て、これら2種類の平均がある意味同じであることを示そうとした点では正しかったが、その関係の示し方に於いては完全に間違っていた。それにはルベーク積分の知識が不可欠なのだが、やっとアメリカに伝わって来たばかりで、30年後になって初めてフォン・ノイマン等の数学者達が、遂にギブズの統計力学に正しい基礎を与えたのである。 ギブズは同時代のヘヴィサイドと同じ様に、物理数学的な勘が論理に先行し、一般には正しい理論に達するけれども、何故正しいのかと言う説明が出来なかった学者の一人である。 ギブズは熱機関工学者にとって、自由エネルギーで知られる著名学者なのですが、応用数学講義ではルベーク積分の習得も無かったので何とも理解し兼ねる処があります。 又、ヘヴィサイドはフィードバック理論に不可欠なラプラス変換を使って、実質的に制御フィードバック理論を展開させたのですが、厳密な数学理論を基礎づけたラプラスにその名を譲ることになったのです。 実用を重んずる工学の世界では理論より応用が重視されますので仕方が無いのですが、工学者の一員として寂しいものがあります。 何れにせよ、サイバネティクスを読破出来るか否か、甚だ疑問の状態です!