金曜日, 1月 09, 2015

60分でわかるピケティの「21世紀の資本」-Q&AのWebアプリに似る

僅か77頁で内容も薄弱、本の帯には「サブテキストとして最適」とキャッチコピーされていますが、何故ベストセラーになるのか分からない書籍とも思えましたが、出版物を読まない風潮で軽いテキストが好まれる様です。 「21世紀の資本」が英訳されるや、世界中でベストセラーとなり注目されたのは、21世紀に暴走して来ている資本主義に不安を感じていることの現れなのでしょう。 資本主義のアンチテーゼであった共産主義は、労働者への幸福をもたらすこと無く、幹部官僚独裁国家に変貌してしまっているのは、よく知られることとなりました。 宗主国ソ連は崩壊し、中国は党エリート独裁の国家資本主義に変貌し格差は資本主義以上に拡大させる始末、北朝鮮では基本的な人権を認めない蹂躙国家と成り果てました。 ピケティはマルクスと同様に、資本主義では格差が拡大するのが普通だと分析するのですが、アンチテーゼの共産主義はあり得ず、資本主義より効率の高い経済システムは無いと結論付けるのです。 解決策として、グローバルな発展で利益を貪る資本主義の暴走を抑えるには、累進課税を強化し、グローバルな資本課税を提案するのです。 「21世紀の資本」は著名な学者・経済人が絶賛するのですが、従来には無い資本主義の矛盾を突く経済書としながらも、マルクスとは違う結論に至る理論的考証も未だこれからであり、一般人には難解な本ですので、このような薄いガイドブックを読むことで少し判った気になるのも良いのですが、何かQ&AのWebアプリを見ているだけの軽薄な著書と感じられないでもありません。