水曜日, 5月 30, 2007

白洲次郎の日本国憲法

白洲次郎は「吉田茂の茶坊主」「ラスプーチン」と揶揄されながらも、黒子に徹していた為か、あまり知られていない。しかも政界での活躍のみならず、戦後日本復興の原動力となった通産省設立、9電力会社体制構築、東北電力社長就任と経済界での活躍も幅広い。

白洲次郎の日本国憲法-(光文社知恵の森文庫 鶴見 紘 著)

戦後日本の方向を決定した日本国憲法制定、対日講和条約に重要な役割を果たしたのだが、黒子に徹していた為か、記録上はおよそ知られていない。吉田茂の右腕としてGHQと対峙し、一方では自由党代議士連を牛耳り「白洲300人力」と囁かれつつ、日本国憲法制定に深く関わった。

1989年に「隠された昭和史の巨人-白洲次郎の日本国憲法」として発行され、白洲ブームの先駆けとなった一作の加筆修正版らしい。

しかし、章の構成に問題があるのか、著者の熱い思いが伝わって来ないのです。
加筆された最終章には「文庫化にあたって 白洲次郎が考えていたこと」として、白洲次郎に対する熱き思いが大いに感じられのだが・・

考えてみると、取材をしつつ資料提供を受けた白洲正子夫人に敬意を表して、巻頭言を譲ったことにその原因があると見ました。この「特別寄稿 ソアラの縁」がこの書籍とベクトルがずれているのだ。随筆家として知られる白洲正子だが、その文体が軽すぎて、しかも変な先入観を読者に植え付けてしまうのが頂けない様に思われるのです。

読了して、最終章と巻頭言を入れ替えることで、著者の熱い思いがストレートに伝わってくるのでは無いかと判断せざるを得ませんでした。
夫唱婦随とは言いますが、このままでは婦唱のみとなっていて、これはいけません!