第2回国際量子暗号会議(Quantum Cryptography 2008)が2008年12月1~2日に開催され、NHKBS1英語ニュースで報道されていました。
量子力学の基本原理とされる「ハイゼンベルグの不確定性原理」を利用する技術と言うから驚きです。
「ハイゼンベルグ(Heisenberg)の不確定性原理(Uncertainty Principle)」とは「或る素粒子物質の二つの状態量は同時には正確な測定は出来ず、誤差は避けようが無い」と言う原理で、敷衍すると「量子の或る状態を測定すると量子は必ず別の状態に変化する」と言うことになります。
20世紀物理学の巨星アインシュタイン(Einstein)は、「決まってはいるが人間に分からないだけ、神はサイコロを振らない」と反論し、忌み嫌った理論でもありました。
公開鍵暗号方式は不特定多数の相手と暗号通信を行える技術として普及している。しかし、計算量によって暗号鍵が保証されるパラダイムであり、高性能コンピュータの進歩によっては安全性が崩される可能性もある。
絶対に安全な暗号化技術として「量子暗号」と呼ばれる技術が研究されている。それは「ハイゼンベルグの不確定性原理」に基づいて盗聴の有無を必ず確認することで暗号鍵の安全性が保証される。即ち、量子データ通信中にそのデータを盗み見ようとすると、その量子の状態が変化するためデータが盗聴されたかを認識できる仕組みだ。
一般的な光通信では沢山の光子をまとめて「0」か「1」の情報を符号化させるが、量子通信では光子1個に「0」か「1」の情報を与えるため、光子の変化が厳密に判断できる。
87km長距離通信に成功する等、完成度は高く、光ファイバを活用することが可能。現代暗号と組み合わせたシステムを構築したことにより、実際に製品として納入することも可能だと言う。
しかし、量子暗号通信は通信速度が非常に遅く7.2bpsにしか達しない等、課題克服とはなっていません。
兎に角、素粒子物理学でしか利用出来ないと思われた「ハイゼンベルグの不確定性原理」の工学への適用と言うその進歩には目を見張るものがありますが、通信技術の中核として光子と言う素粒子を問題にするですから、これは必然の方向だったのでしょうか?
月曜日, 12月 08, 2008
木曜日, 10月 16, 2008
ITPro Expo-分散型PC環境は中央集権に回帰してアウトソーシング化?

昨日、東京ビッグサイトで行われているITPro Expo 2008 Autumnに行って来ました。
大きなテーマは「クラウド(Cloud)・コンピューティング」「クリーン(Clean)IT」「仮想化(Virtualization)技術」となっていた様でした。
1970年代の汎用コンピュータによる企業情報管理から、1980年代のPC性能の格段的進歩によって発展した分散型情報管理方式が、増大する一方のIT経費・セキュリティ問題等を解決すべく、ネット環境の発達と共に変わろうとしている様でした。
特に、クラウド・コンピューティングの市場はいま急速に拡大しようとしていると言うことでした。
第1にセキュアな通信環境整備で強化されたネットワークの上で、サーバーなどのハードウエアをユーティリティとして活用する企業も増加。
ITの保有ではなく利用。自社開発の場合はシステムが稼働するまでに相当の時間と大きな初期コストが発生し、固定資産になるが、クラウド・コンピューティングであれば外部サービスを組み合わせて使え、初期投資を抑えつつ迅速に導入することが出来る。
第2にSAPやオラクル、マイクロソフトといった大手ITプロバイダーも取り組み強化を表明していて、選択肢が豊富。
クラウドから調達したソフトウエアやサービスを社内の既存システムと連携させて企業システムを構築することも出来、多様な組み合わせが可能になる。ユーザーに対してより多様なサービスを提供することができるようになる。
第3にユーザーのニーズで、コスト削減とスピードアップ要求に対応。
オフィスツールやコラボレーション環境などの領域では、容易にクラウド・コンピューティングを導入出来る。最も難易度が高いのは,企業固有の業務が大きな割合を占めているCRMやSCM,ERPなどの領域だ。
又、ユーザー数が一定以上になると外部サービスを利用するよりも、自社保有の方がコスト面で有利になることもある。従って,将来のシステム拡張も考慮しながら「SaaS(Software as a Service) が有利か、自社保有が有利か」と言う分岐点を見極める必要がある。
以上の点に注意しながら、導入が容易な領域からクラウド・コンピューティングを利用することが望ましい。
ICTも企業サイドの変革は風雲急を告げている様ですが、個人・家庭のネット環境への波及は、その様子待ちと言った処では無いかと思いつつ帰宅しました。
木曜日, 6月 12, 2008
占領と改革-岩波新書
著者の主張は、「現在日本の骨格となっている一連の戦後改革は占領政策によるものとされているが、改革の原点は戦前の日本社会から継承したものの中にあったので、占領が無くても改革は行われた」となっているが、その主張は事後からのレトリック的考察に過ぎず、与することは出来ない。
成程、大正デモクラシーから続く萌芽はあったのだが、徹底的に弾圧を受け瀕死の状態で育つことは恐らくあり得なかったと推断出来る。
敗戦後であっても、国会は軍部に懐柔された大政翼賛会に牛耳られたままの状態で、連合国総司令部(GHQ)の強引な「公職追放」実施無しには、それらに属する議員が当選多数を占めて、一切の改革はなし得なかったと思われるからだ。
しかし、著者・雨宮昭一氏の次の分析・予測は傾聴に値する。
戦後体制は、国際的には戦勝国によるポツダム体制・サンフランシスコ冷戦体制、政治的には1955年の自民2/3・社会党1/3体制、経済的には民需中心の日本的経営体制、法的には日本国憲法体制からなる体制である。
そして今、この体制が高度経済成長を経て揺らぎ、次の体制へ移行する処であろう。
このまま放置すれば、その方向に行く体制をパート1、選択する体制をパート2と考えると、パート1は国際的にはアメリカ中心堅持、経済的には新自由主義、法的には憲法改正、社会的には市場主義の体制となろう。
パート2は国際的には国家主権の相互制限、アジアにおける安全共同体、経済では非営利・非政府の協同主義と市場主義の混合体、社会的には個性化・多様化の基づく非営利・非政府領域と連帯の拡大となる。
パート2移行となれば、保守も革新も分解を始めるだろう。
現在与党の自公政権与党もパート1派が勢いを無くし、民主党を核とする野党もパート2を志向しつつ活動していることが窺われる情勢で、現実にも「ねじれ国会」となっている現時点に於いては、過去の離合集散から将来の政界再編を見据えると言う観点から、一読に値する本と思われます。
成程、大正デモクラシーから続く萌芽はあったのだが、徹底的に弾圧を受け瀕死の状態で育つことは恐らくあり得なかったと推断出来る。
敗戦後であっても、国会は軍部に懐柔された大政翼賛会に牛耳られたままの状態で、連合国総司令部(GHQ)の強引な「公職追放」実施無しには、それらに属する議員が当選多数を占めて、一切の改革はなし得なかったと思われるからだ。
しかし、著者・雨宮昭一氏の次の分析・予測は傾聴に値する。
戦後体制は、国際的には戦勝国によるポツダム体制・サンフランシスコ冷戦体制、政治的には1955年の自民2/3・社会党1/3体制、経済的には民需中心の日本的経営体制、法的には日本国憲法体制からなる体制である。
そして今、この体制が高度経済成長を経て揺らぎ、次の体制へ移行する処であろう。
このまま放置すれば、その方向に行く体制をパート1、選択する体制をパート2と考えると、パート1は国際的にはアメリカ中心堅持、経済的には新自由主義、法的には憲法改正、社会的には市場主義の体制となろう。
パート2は国際的には国家主権の相互制限、アジアにおける安全共同体、経済では非営利・非政府の協同主義と市場主義の混合体、社会的には個性化・多様化の基づく非営利・非政府領域と連帯の拡大となる。
パート2移行となれば、保守も革新も分解を始めるだろう。
現在与党の自公政権与党もパート1派が勢いを無くし、民主党を核とする野党もパート2を志向しつつ活動していることが窺われる情勢で、現実にも「ねじれ国会」となっている現時点に於いては、過去の離合集散から将来の政界再編を見据えると言う観点から、一読に値する本と思われます。
水曜日, 6月 11, 2008
オイルシェールによる原油開発-三井物産
1974年のオイルショックを受け、1970年代後半にはオイルサンド・オイルシェールの石油資源開発は注目を浴びていましたが、1980年代の原油価格低迷から、全て中止と言うことになりました。
昨今の異常な原油高騰を受けて、30年振りにオイルシェール開発が取り沙汰されているのが気になりますが、「石油は魔物」と言われていますので今後の動向が注目されます。
三井物産はオイルシェール(油分を含む頁岩)の大型開発に参画する。ブラジル国営石油会社ペトロブラス等と共同で2013年以降、日量5万バレル規模の商業生産を目指し、事業権益の最大2割を獲得する。オイルシェールからの原油量産は成功すれば世界初。米原油先物が一時1バレル140ドルに迫るなど原油高騰が続く中、コスト高で手つかずの新資源への投資が本格化し始めた。
両社は米ベンチャー企業のオイルシェールエクスプロレーション(デラウェア州)が米政府から開発権を得ている中西部ユタ州の鉱区開発に参画する。30~40億バレル(日本の年間消費量の2~3年分に相当)の埋蔵量を見込んでいる。
オイルシェール開発を手掛けていたTosco(The Oil Shale Corporation)を訪問したのは1981年頃でしたが、Exxonが介入して来たことで開発プロジェクトは1982年に放棄されたと記憶しています。
イラン革命・アメリカ大使館人質問題も決着に向かい、原油価格が低迷しつつある時期でしたから、採算が取れないと判断された様です。
その頃は、今で言うバイオ燃料、天然ガス由来のGTL(Gas to Liquids)燃料と言う代替石油の選択肢も無く、採算分析は比較的単純だったと思われますが、今回は果たしてどうなるのでしょう?
歴史は繰り返すとは良く言われますが、情勢の違いを克服できるか注目される処です。
世界中に埋蔵されているオイルサンド、オイルシェールから得られる重質原油は5兆バレル以上と推定されている。
オイルサンド(Oil Sands)は、極めて粘性の高い原油を含む砂岩。母岩が砂岩ではなく頁岩の場合にはオイルシェール(Oil Shale)と呼ばれる。
オイルサンド・オイルシェールから原油を得るためには、母岩を採掘・乾留するので、大量の産業廃棄物が発生する。従来原油と比較して採掘及び抽出コストが高く、廃棄土砂の処理に多額の費用を要するため、不採算資源として放置されてきた。しかし、原油(WTI)価格が高騰して採算コストを上回るようになり、大規模な採掘・精製が行われるようになった。これに伴い、埋蔵地や採掘権の買収に多額の投機マネーが集まっている。
オイルサンドは、カナダ(アルバータ州)、ベネズエラに分布する。極めて低質なものは日本でも新潟県新潟市の新津油田などに見受けることができる。代表的なオイルシェール地帯はアメリカ合衆国(西部)、ブラジル、ロシア、オーストラリアなどに分布する。
インターネット検索しますと、Tosco (The Oil Shale Corporation) は幾多の曲折を経て、2001年にフィリップス石油(Phillips Petroleum)に吸収され、2002年からはConocoPhillips 傘下の一部門となっている様です。
今回三井物産が権利を得ようとしているオイルシェールエクスプロレーション(デラウェア州)とは、Toscoとは別企業。
未だに「石油は魔物」で、採掘権・鉱区開発などで種々の選択肢があるのは歴史的なものの様です。
昨今の異常な原油高騰を受けて、30年振りにオイルシェール開発が取り沙汰されているのが気になりますが、「石油は魔物」と言われていますので今後の動向が注目されます。
三井物産はオイルシェール(油分を含む頁岩)の大型開発に参画する。ブラジル国営石油会社ペトロブラス等と共同で2013年以降、日量5万バレル規模の商業生産を目指し、事業権益の最大2割を獲得する。オイルシェールからの原油量産は成功すれば世界初。米原油先物が一時1バレル140ドルに迫るなど原油高騰が続く中、コスト高で手つかずの新資源への投資が本格化し始めた。
両社は米ベンチャー企業のオイルシェールエクスプロレーション(デラウェア州)が米政府から開発権を得ている中西部ユタ州の鉱区開発に参画する。30~40億バレル(日本の年間消費量の2~3年分に相当)の埋蔵量を見込んでいる。
オイルシェール開発を手掛けていたTosco(The Oil Shale Corporation)を訪問したのは1981年頃でしたが、Exxonが介入して来たことで開発プロジェクトは1982年に放棄されたと記憶しています。
イラン革命・アメリカ大使館人質問題も決着に向かい、原油価格が低迷しつつある時期でしたから、採算が取れないと判断された様です。
その頃は、今で言うバイオ燃料、天然ガス由来のGTL(Gas to Liquids)燃料と言う代替石油の選択肢も無く、採算分析は比較的単純だったと思われますが、今回は果たしてどうなるのでしょう?
歴史は繰り返すとは良く言われますが、情勢の違いを克服できるか注目される処です。
世界中に埋蔵されているオイルサンド、オイルシェールから得られる重質原油は5兆バレル以上と推定されている。
オイルサンド(Oil Sands)は、極めて粘性の高い原油を含む砂岩。母岩が砂岩ではなく頁岩の場合にはオイルシェール(Oil Shale)と呼ばれる。
オイルサンド・オイルシェールから原油を得るためには、母岩を採掘・乾留するので、大量の産業廃棄物が発生する。従来原油と比較して採掘及び抽出コストが高く、廃棄土砂の処理に多額の費用を要するため、不採算資源として放置されてきた。しかし、原油(WTI)価格が高騰して採算コストを上回るようになり、大規模な採掘・精製が行われるようになった。これに伴い、埋蔵地や採掘権の買収に多額の投機マネーが集まっている。
オイルサンドは、カナダ(アルバータ州)、ベネズエラに分布する。極めて低質なものは日本でも新潟県新潟市の新津油田などに見受けることができる。代表的なオイルシェール地帯はアメリカ合衆国(西部)、ブラジル、ロシア、オーストラリアなどに分布する。
インターネット検索しますと、Tosco (The Oil Shale Corporation) は幾多の曲折を経て、2001年にフィリップス石油(Phillips Petroleum)に吸収され、2002年からはConocoPhillips 傘下の一部門となっている様です。
今回三井物産が権利を得ようとしているオイルシェールエクスプロレーション(デラウェア州)とは、Toscoとは別企業。
未だに「石油は魔物」で、採掘権・鉱区開発などで種々の選択肢があるのは歴史的なものの様です。
火曜日, 5月 27, 2008
人生読本落語版-岩波新書
著者は1935年生まれの後期高齢者直前、テレビ放送も無い時代、ラジオ寄席が娯楽番組として全盛を極めている時に青年期を過ごしたことで、落語の面白さを身に沁みて感じた経験も相俟って、過去を回想するのを佳いとする世代の様です。
案の定、40余のタイトルには自分の人生経験と関連する落語が入り混じって紹介されています。
そうは言っても、単なる愚痴と懐古趣味が蔓延していることは無く、新書版で気軽に読め、少しは世の中の情勢への対処法、楽しく人生を送る術を考えさせてくれる書籍です。
近頃は、テレビ放送でも「お笑いブーム」が再燃していますが、視覚的動きで笑いを誘う傾向が強く、読み言葉として文章に耐えられるものは少ない様に思われますが、その点、落語は文章となっても十分面白さを満喫できる資質を備えた伝統文化であることが分かります。
人生読本落語版-岩波新書1130(著者 矢野誠一)
著者は「はじめに」章で次の様に述懐していて、その時流に阿らない姿勢は、傾聴に値するものだと思われます。
古今亭志ん生がしばしば口にした「こんなこと学校じゃ教えない」の一言は、将に教育の妙諦で、あの時代の寄席は、私にとって最高の教室だった。決して世のため、人のためにはならないが、貧しいながら楽しく人生を送る術を学んで来た。
昨今の地に堕ちた世情を見せられると、テレビとも、パソコンとも、携帯とも無縁な不便でも心豊かな人生を、落語の世界から改めて学びなおしても良いのではあるまいか。
この本、電車内でも気軽に読めるのですが、本を読みながらもにやにやとせざるを得ず、変な人と思われる危険性がありますので、要注意でしょう!
案の定、40余のタイトルには自分の人生経験と関連する落語が入り混じって紹介されています。
そうは言っても、単なる愚痴と懐古趣味が蔓延していることは無く、新書版で気軽に読め、少しは世の中の情勢への対処法、楽しく人生を送る術を考えさせてくれる書籍です。
近頃は、テレビ放送でも「お笑いブーム」が再燃していますが、視覚的動きで笑いを誘う傾向が強く、読み言葉として文章に耐えられるものは少ない様に思われますが、その点、落語は文章となっても十分面白さを満喫できる資質を備えた伝統文化であることが分かります。
人生読本落語版-岩波新書1130(著者 矢野誠一)
著者は「はじめに」章で次の様に述懐していて、その時流に阿らない姿勢は、傾聴に値するものだと思われます。
古今亭志ん生がしばしば口にした「こんなこと学校じゃ教えない」の一言は、将に教育の妙諦で、あの時代の寄席は、私にとって最高の教室だった。決して世のため、人のためにはならないが、貧しいながら楽しく人生を送る術を学んで来た。
昨今の地に堕ちた世情を見せられると、テレビとも、パソコンとも、携帯とも無縁な不便でも心豊かな人生を、落語の世界から改めて学びなおしても良いのではあるまいか。
この本、電車内でも気軽に読めるのですが、本を読みながらもにやにやとせざるを得ず、変な人と思われる危険性がありますので、要注意でしょう!
土曜日, 3月 15, 2008
ルポ貧困大国アメリカ-岩波新書(堤未果 著)
著者の堤未果女史は年齢不詳とされていますが、30才位の新進気鋭のジャーナリスト、マスコミ業界に阿ることも無く、ルポ報告での舌鋒鋭い指摘は新鮮そのものです。
アメリカに倣って経済自由主義・格差是認のグローバル化を直走る日本の現状・近未来に対する警鐘だと見ても差し支えありません。
嘗て「市場原理」は、バラ色の未来を運んで来るかの様に謳われた。競争によりサービスの質が上がり、国民生活がもっと便利で豊かになると言うイメージだ。
政府が国際競争力を規制緩和や法人税の引き下げで大企業を優遇し、社会保障費を削減することで帳尻を合わせようとした結果、中間層は消滅、貧困層は「勝ち組」の利益を拡大するシステムの中に組み込まれてしまった。
グローバル市場において効率良く利益を生み出すものの一つに弱者を食い物にする「貧困ビジネス」がある。
「サブプライムローン問題」は単なる金融の話では無く、過激な「市場原理」が経済的弱者を食い物にした「貧困ビジネス」の一つだ。
アメリカで中流階級の消費が飽和状態となった時、ビジネスが次のターゲットとして低所得者層を狙ったのが「サブプライムローン」、そこでは弱者が食い物にされ、使い捨てにされ生存権を奪われて行く現実がある。
この世界を動かす大資本の力はあまりに大きく私たちの想像を超えているし、現状が辛いほど私たちは試される。
しかし、現実を正確に伝えるべきメディアが口をつぐんでいるならば、表現の自由が侵されている状態に声を上げ、健全なメディアを立て直す。それも私たち国民の責任なのだ。
新鮮な感じのするルポ報告とは言え、何か「アジテーション演説を聞いている様な錯覚に陥ることも無きにしも非ず」と言う処で、このルポに迎合して庶民の声を上げて行くには短絡すぎる気もしないではありません。
その様な懸念を払拭するには、自分の頭の中で論理再構築することも考えなければなりません。
アメリカに倣って経済自由主義・格差是認のグローバル化を直走る日本の現状・近未来に対する警鐘だと見ても差し支えありません。
嘗て「市場原理」は、バラ色の未来を運んで来るかの様に謳われた。競争によりサービスの質が上がり、国民生活がもっと便利で豊かになると言うイメージだ。
政府が国際競争力を規制緩和や法人税の引き下げで大企業を優遇し、社会保障費を削減することで帳尻を合わせようとした結果、中間層は消滅、貧困層は「勝ち組」の利益を拡大するシステムの中に組み込まれてしまった。
グローバル市場において効率良く利益を生み出すものの一つに弱者を食い物にする「貧困ビジネス」がある。
「サブプライムローン問題」は単なる金融の話では無く、過激な「市場原理」が経済的弱者を食い物にした「貧困ビジネス」の一つだ。
アメリカで中流階級の消費が飽和状態となった時、ビジネスが次のターゲットとして低所得者層を狙ったのが「サブプライムローン」、そこでは弱者が食い物にされ、使い捨てにされ生存権を奪われて行く現実がある。
この世界を動かす大資本の力はあまりに大きく私たちの想像を超えているし、現状が辛いほど私たちは試される。
しかし、現実を正確に伝えるべきメディアが口をつぐんでいるならば、表現の自由が侵されている状態に声を上げ、健全なメディアを立て直す。それも私たち国民の責任なのだ。
新鮮な感じのするルポ報告とは言え、何か「アジテーション演説を聞いている様な錯覚に陥ることも無きにしも非ず」と言う処で、このルポに迎合して庶民の声を上げて行くには短絡すぎる気もしないではありません。
その様な懸念を払拭するには、自分の頭の中で論理再構築することも考えなければなりません。
月曜日, 2月 04, 2008
中国名文選-岩波新書(興膳 宏 著)
日本語は常に変化しつつありますが、原則的には常用漢字2000字を主体として平仮名を使って送り仮名として読みやすい様にし、外来語は原則カタカナ(片仮名)とし表記され、各々の区別がつきやすい様に構成されています。
近頃は漢字で表現出来ることも、英語をカタカナ表現にした日本語の方が恰好が良いと言う風潮から、その様な会話・文章が幅を利かせるようになりましたが、1000年近く使われて来た漢字中心の日本語は今後も廃れることは無い様に思われます。
中国古典は永く日本人の教養を形作って来ましたが、先人が考案した漢文訓読というユニークな読解法が日本語でも違和感無く理解出来ると言うことが大きな役割を果たし、又、それらの簡潔な表現は日本語の文章に影響を与えて、今でも一部は「4文字熟語」として脈々として受け継がれています。
しかし、序章の冒頭に述べられている事実は目から鱗の様に感じられます。
中国では、かなり早い時期から書き言葉の文体が話し言葉から独立して、独自の発達を遂げた。書き言葉によって綴られた文章を「文言」と言うが、その特徴は、口頭で話される言葉を逐一写すのではなく、言わんとする意の要所を摘んで、簡潔に掬い上げることにある。
その「文言」も種々の変遷があるらしく、次の様に紹介しています。
「文言」も「史記」で完成を見ますが、歴史を辿るに従って、六朝時代(3~6世紀)には形式を重んずる文体が発展して技巧を尊重することとなります。しかし、8世紀後半の中唐となって復古運動が推進され、形式に縛られず自由に表現出来る中国のルネッサンスともされる「古文運動」が起きて来ます。
種々古典から選び抜いた名文は、孟子・荘子から宋代の蘇軾・李清照まで12人の文章家による内容・形式もさまざまな代表文、読みどころを押さえながら訓読し、白文も添えて、分かり易い解説がその味わいを伝えてくれます。
新書版で僅か12名文しかありませんので、気軽に中国古典を親しめる機会を提供してくれます。各項目別に、興味が出ましたら詳細な書籍を見つければ良さそうで、日本語ルネッサンスへの恰好な入門書に思えます。
近頃は漢字で表現出来ることも、英語をカタカナ表現にした日本語の方が恰好が良いと言う風潮から、その様な会話・文章が幅を利かせるようになりましたが、1000年近く使われて来た漢字中心の日本語は今後も廃れることは無い様に思われます。
中国古典は永く日本人の教養を形作って来ましたが、先人が考案した漢文訓読というユニークな読解法が日本語でも違和感無く理解出来ると言うことが大きな役割を果たし、又、それらの簡潔な表現は日本語の文章に影響を与えて、今でも一部は「4文字熟語」として脈々として受け継がれています。
しかし、序章の冒頭に述べられている事実は目から鱗の様に感じられます。
中国では、かなり早い時期から書き言葉の文体が話し言葉から独立して、独自の発達を遂げた。書き言葉によって綴られた文章を「文言」と言うが、その特徴は、口頭で話される言葉を逐一写すのではなく、言わんとする意の要所を摘んで、簡潔に掬い上げることにある。
その「文言」も種々の変遷があるらしく、次の様に紹介しています。
「文言」も「史記」で完成を見ますが、歴史を辿るに従って、六朝時代(3~6世紀)には形式を重んずる文体が発展して技巧を尊重することとなります。しかし、8世紀後半の中唐となって復古運動が推進され、形式に縛られず自由に表現出来る中国のルネッサンスともされる「古文運動」が起きて来ます。
種々古典から選び抜いた名文は、孟子・荘子から宋代の蘇軾・李清照まで12人の文章家による内容・形式もさまざまな代表文、読みどころを押さえながら訓読し、白文も添えて、分かり易い解説がその味わいを伝えてくれます。
新書版で僅か12名文しかありませんので、気軽に中国古典を親しめる機会を提供してくれます。各項目別に、興味が出ましたら詳細な書籍を見つければ良さそうで、日本語ルネッサンスへの恰好な入門書に思えます。
日曜日, 1月 20, 2008
西田哲学-西田幾多郎
どうも金権主義と享楽主義が蔓延り、「ハウツーが横行するだけ」の如何ともし難い状況に陥っている様です。
「清貧」と言う言葉は死語と化して「金儲けと享楽のみが生き甲斐」となって久しく、強者は批判を封じ込めることに汲々とし、弱者を見つけると徹底的に批判して「その生き様」まで否定しようとするのですから、世の中は住みにくくなってしまい、とてもではありませんが一般大衆は堪りません。
政治家の政治資金偽装、実業家の偽装行為、マスコミの情報流用操作・インサイダー取引など頻発して「チャンスを生かす強者の論理」は留まることがありません。
「パンとサーカスを生き甲斐」とする哲学不在の時代が、そうした生き様を肯定してしまったのだと言うことでしょうか?
西田幾多郎-生きることと哲学 岩波新書(藤田正勝 著)
西田幾多郎は、「善の研究」で一世を風靡し、純粋経験を標榜した西田哲学を確立した哲人として知られている。
哲学は我々の自己の自己矛盾の事実より始まるのである。哲学の動機は「驚き」でなくして深い人生の悲哀でなければならない。
「功なり名遂げた」人生を予想するだが、絶筆にあたって全く違った眼で自らの生涯を見ていたことが分かった。
私の論理は学界からは理解されず、一顧も与えられないと言っても良いのである。批評が無いではない。しかしそれは異なった立場から私の言う所を曲解しての批評に過ぎない。
西田は、さまざまな思想家から批判を受けたが、その都度、批判を正面から受け止め、自らの思想を発展させる原動力にして行った。批判を自らの思想の中に取り込み、それを糧として新たな発展を遂げていく力強さ、エネルギーが西田の思索の中にはあった。
西田は図らずも弁証法的生き様を貫いたのかも知れません。
ある命題(テーゼ=正)と、それを否定する命題(アンチテーゼ=反対命題)、それらを本質的に統合した命題(ジンテーゼ=合)として、サイクル化されているのである。
全てのものは矛盾を含んでおり、必然的に己と対立するものを生み出す。生み出すものと生み出されたものは互いに対立しあうが、その対立によって互いに結びつき、最後には二つがアウフヘーベン(aufheben)される。
「清貧」と言う言葉は死語と化して「金儲けと享楽のみが生き甲斐」となって久しく、強者は批判を封じ込めることに汲々とし、弱者を見つけると徹底的に批判して「その生き様」まで否定しようとするのですから、世の中は住みにくくなってしまい、とてもではありませんが一般大衆は堪りません。
政治家の政治資金偽装、実業家の偽装行為、マスコミの情報流用操作・インサイダー取引など頻発して「チャンスを生かす強者の論理」は留まることがありません。
「パンとサーカスを生き甲斐」とする哲学不在の時代が、そうした生き様を肯定してしまったのだと言うことでしょうか?
西田幾多郎-生きることと哲学 岩波新書(藤田正勝 著)
西田幾多郎は、「善の研究」で一世を風靡し、純粋経験を標榜した西田哲学を確立した哲人として知られている。
哲学は我々の自己の自己矛盾の事実より始まるのである。哲学の動機は「驚き」でなくして深い人生の悲哀でなければならない。
「功なり名遂げた」人生を予想するだが、絶筆にあたって全く違った眼で自らの生涯を見ていたことが分かった。
私の論理は学界からは理解されず、一顧も与えられないと言っても良いのである。批評が無いではない。しかしそれは異なった立場から私の言う所を曲解しての批評に過ぎない。
西田は、さまざまな思想家から批判を受けたが、その都度、批判を正面から受け止め、自らの思想を発展させる原動力にして行った。批判を自らの思想の中に取り込み、それを糧として新たな発展を遂げていく力強さ、エネルギーが西田の思索の中にはあった。
西田は図らずも弁証法的生き様を貫いたのかも知れません。
ある命題(テーゼ=正)と、それを否定する命題(アンチテーゼ=反対命題)、それらを本質的に統合した命題(ジンテーゼ=合)として、サイクル化されているのである。
全てのものは矛盾を含んでおり、必然的に己と対立するものを生み出す。生み出すものと生み出されたものは互いに対立しあうが、その対立によって互いに結びつき、最後には二つがアウフヘーベン(aufheben)される。
金曜日, 1月 04, 2008
人工浮島で太陽発電-スイスの研究所(CSEM)が研究開発
現在は水素を得る為には炭素を含む化石燃料を原料とし、改質器の中で二酸化炭素(CO2)、猛毒の一酸化炭素(CO)が発生しますので、除去しなければなりません。特に12%も入っています一酸化炭素は、二酸化炭素変成プロセス過程を経て、排気中に10PPM以下となる様に設定されています。結局、排ガス中には相当量の二酸化炭素(CO2)が含まれ、CO2発生率は従来発電方式と殆ど同等となってしまいます。化石燃料を使う限り、その宿命は変わらないのです。
無尽蔵の太陽エネルギーを使って、純水素ガスを製造し、燃料電池で動力・電力を得て、環境を汚さずに生活する、そんな時代が来て欲しいものです。
スイスの民間研究所CSEM(Centre Suisse d'Electronique et de Microtechnique)が太陽発電を行う人工浮島(MegaFloat)を海上に建設するプロジェクトに取り組んでいる。2010年代初頭の実用化を目標に、強い日差しを遮る障害物のない海上で効率よく太陽発電を行う研究開発を進めている。
アラブ首長国連邦(UAE)を構成する首長国のラスアルハイマにてプロジェクトが進められている。2007年5月にラスアルハイマ当局に太陽発電の浮島構想を説明し、500万ドルの資金提供を含めたプロジェクト推進への支援を取り付けた。
直径5km円形の浮島に太陽の熱エネルギーを集めて貯蔵する設備を設置し、太陽熱エネルギーによって蒸気を発生させ、水素を取り出し発電に活用する。且つ、直射日光の強い昼間に熱エネルギーを蓄えて夜間の発電にも利用する。
日本でも経済産業省・環境省・NEDOを中心に同じような動きがあり、人工浮島(メガフロート)上に風力発電・太陽光発電・海水淡水化設備、水素製造設備を設けて海洋上で水素製造・発電する計画ですが、予算化もならず未だ検討段階に過ぎません。
具体的には海上に移動可能な人工浮島を設け、その上でクリーンなエネルギー源である水素を、太陽光や風力などの自然エネルギーで得られた電力を利用して製造する。
技術的には風力や太陽光は天候に大きく左右され、電力の供給源として安定性に欠けることが実用化の上で問題視されているが、この不安定な電力を水素製造するための「水の電気分解」に利用することで欠点を補うことが期待でき、近未来に自動車や家庭のエネルギー源の主流と目されている水素を安定供給する可能性を検討することができる。
又、人工浮島は移動が可能であるため、各地の太陽光や風力などのデータ採取が可能である。他の方法より長期的に環境面で優位と判断されれば、海上を利用した大規模な自然エネルギー水素製造設備や発電設備を検討することもできる。また、海洋上に水素の貯蔵設備が位置するため、地震・津波などの自然災害に強く、万一事故が発生しても周辺への被害が少ない。
日本が検討している人工浮島(MegaFloat)拡張計画、風力発電も入れて一寸欲張り過ぎている気がします。
太陽光発電・水素製造・燃料電池だけに絞らないと膨大な予算が必要で、パイロットプラント化も難しいと考えています。
無尽蔵の太陽エネルギーを使って、純水素ガスを製造し、燃料電池で動力・電力を得て、環境を汚さずに生活する、そんな時代が来て欲しいものです。
スイスの民間研究所CSEM(Centre Suisse d'Electronique et de Microtechnique)が太陽発電を行う人工浮島(MegaFloat)を海上に建設するプロジェクトに取り組んでいる。2010年代初頭の実用化を目標に、強い日差しを遮る障害物のない海上で効率よく太陽発電を行う研究開発を進めている。
アラブ首長国連邦(UAE)を構成する首長国のラスアルハイマにてプロジェクトが進められている。2007年5月にラスアルハイマ当局に太陽発電の浮島構想を説明し、500万ドルの資金提供を含めたプロジェクト推進への支援を取り付けた。
直径5km円形の浮島に太陽の熱エネルギーを集めて貯蔵する設備を設置し、太陽熱エネルギーによって蒸気を発生させ、水素を取り出し発電に活用する。且つ、直射日光の強い昼間に熱エネルギーを蓄えて夜間の発電にも利用する。
日本でも経済産業省・環境省・NEDOを中心に同じような動きがあり、人工浮島(メガフロート)上に風力発電・太陽光発電・海水淡水化設備、水素製造設備を設けて海洋上で水素製造・発電する計画ですが、予算化もならず未だ検討段階に過ぎません。
具体的には海上に移動可能な人工浮島を設け、その上でクリーンなエネルギー源である水素を、太陽光や風力などの自然エネルギーで得られた電力を利用して製造する。
技術的には風力や太陽光は天候に大きく左右され、電力の供給源として安定性に欠けることが実用化の上で問題視されているが、この不安定な電力を水素製造するための「水の電気分解」に利用することで欠点を補うことが期待でき、近未来に自動車や家庭のエネルギー源の主流と目されている水素を安定供給する可能性を検討することができる。
又、人工浮島は移動が可能であるため、各地の太陽光や風力などのデータ採取が可能である。他の方法より長期的に環境面で優位と判断されれば、海上を利用した大規模な自然エネルギー水素製造設備や発電設備を検討することもできる。また、海洋上に水素の貯蔵設備が位置するため、地震・津波などの自然災害に強く、万一事故が発生しても周辺への被害が少ない。
日本が検討している人工浮島(MegaFloat)拡張計画、風力発電も入れて一寸欲張り過ぎている気がします。
太陽光発電・水素製造・燃料電池だけに絞らないと膨大な予算が必要で、パイロットプラント化も難しいと考えています。
土曜日, 12月 22, 2007
ハイタン(Hythane)とナチュラルハイ(Naturalhy)
21世紀は化石燃料も枯渇を迎えて、水素エネルギー利用無しにはエネルギー供給(Energy Supply)が成り立たなくものとされています。
しかし、一挙に転化できるものでも無く、当面は埋蔵量豊富な天然ガス(Natural Gas)を燃料としつつ、段階的に天然ガスに水素を混ぜたハイタン(Hythane)、究極的には水素(Hydrogen)を用いることが妥当とされています。
ハイタン(Hythane)はアメリカにて使われる造語で、 Hydrogen+Methane=Hythaneとされ、米国のBrehon Energy PLC の商標登録用語とされています。
ヨーロッパではナチュラルハイ(Naturalhy)、即ちNatural Gas+Hydrogen=Naturalhyと呼ばれているのですが、アメリカ造語の方が使い易いと思われます。
ハイタン(Hythane)若しくはナチュラルハイ(Naturalhy)は、天然ガスに水素を15~20%混ぜたもので天然ガスに比べ、温室効果ガスや大気汚染物質を約50 %削減すると報告されています。
水素(Hydrogen)の時代は2050年以降と考えられていましたが、COP13のロードマップを考えますと、ハイタン(Hythane)利用が加速して、2020年には水素(Hydrogen)エネルギー時代が始まるものとみて準備を始めておく必要がありそうです。
水素エネルギー社会が実現すれば市内に水素パイプラインが敷設されて家庭や工場に水素が送られることが予想されますが、水素供給チェーン(Supply Chain)での主たるコスト要因は、製造では無く配送と貯蔵と考えられており、長期的な解決策は、水素パイプライン・ネットワーク(Hydrogen Pipeline Network)の構築にあるとされています。
水素ガス・パイプラインの実態漏洩調査から、パイプライン接続部やシール部は、天然ガス・パイプライン以上に頻繁にチェックする必要があることが確認されており、水素ガス・パイプラインは、一般に天然ガス・パイプラインよりも低圧で操業されているのが現状となっていて、エネルギー輸送量が低くなってしまうのが問題となっています。
従って、漏洩防止構造設計と防爆安全設計の向上を綿密に企画し、安全で効果的な高圧力でのハイタン輸送から水素ガス輸送実現が、今後喫緊の課題になるのだと思っています。
しかし、一挙に転化できるものでも無く、当面は埋蔵量豊富な天然ガス(Natural Gas)を燃料としつつ、段階的に天然ガスに水素を混ぜたハイタン(Hythane)、究極的には水素(Hydrogen)を用いることが妥当とされています。
ハイタン(Hythane)はアメリカにて使われる造語で、 Hydrogen+Methane=Hythaneとされ、米国のBrehon Energy PLC の商標登録用語とされています。
ヨーロッパではナチュラルハイ(Naturalhy)、即ちNatural Gas+Hydrogen=Naturalhyと呼ばれているのですが、アメリカ造語の方が使い易いと思われます。
ハイタン(Hythane)若しくはナチュラルハイ(Naturalhy)は、天然ガスに水素を15~20%混ぜたもので天然ガスに比べ、温室効果ガスや大気汚染物質を約50 %削減すると報告されています。
水素(Hydrogen)の時代は2050年以降と考えられていましたが、COP13のロードマップを考えますと、ハイタン(Hythane)利用が加速して、2020年には水素(Hydrogen)エネルギー時代が始まるものとみて準備を始めておく必要がありそうです。
水素エネルギー社会が実現すれば市内に水素パイプラインが敷設されて家庭や工場に水素が送られることが予想されますが、水素供給チェーン(Supply Chain)での主たるコスト要因は、製造では無く配送と貯蔵と考えられており、長期的な解決策は、水素パイプライン・ネットワーク(Hydrogen Pipeline Network)の構築にあるとされています。
水素ガス・パイプラインの実態漏洩調査から、パイプライン接続部やシール部は、天然ガス・パイプライン以上に頻繁にチェックする必要があることが確認されており、水素ガス・パイプラインは、一般に天然ガス・パイプラインよりも低圧で操業されているのが現状となっていて、エネルギー輸送量が低くなってしまうのが問題となっています。
従って、漏洩防止構造設計と防爆安全設計の向上を綿密に企画し、安全で効果的な高圧力でのハイタン輸送から水素ガス輸送実現が、今後喫緊の課題になるのだと思っています。
月曜日, 12月 17, 2007
高性能リチウムイオン電池
リチウムイオン電池は初期型メタハイ(MH)電池よりも、エネルギー密度が高く使用寿命も長いことから、ノートパソコンなどモバイル情報機器に多く使用されています。しかし、過充電は電池を急激に劣化させ、最悪の場合は破裂・発火すると言われ、実際にモバイル機器の電池が火災や爆発が起きて回収となった事例が多くありました。
東芝は12月11日、高温や低温など過酷な条件下でも発火や破裂の恐れが少ない新型の高性能リチウムイオン電池「SCiB(Super Charge ion Battery)」開発成功と事業化計画を発表しました。
「高い安全性、長寿命、急速充電性能、高出力、低温性能」との特徴が挙げられています。
負極材に従来のコバルト酸リチウム(LiCoO2)に替えてチタン酸リチウム(LiTiO2)を採用、引火点の高い電解液や耐熱性セパレータを組み合わせ、内部短絡が起こっても熱暴走を起こしにくい。
バッテリを物理的につぶして短絡させても、セル温度は100℃未満で収まり、発煙も発火も生じない。
急速充電を3000回繰り返しても容量低下は10%未満、約5000回を超える繰り返し充放電が可能。5分間で電池容量の90%以上の充電が可能。
電気二重層キャパシタ並みの高い入出力性能(パワー密度)、マイナス30度の低温環境でも十分な性能を維持するとされている。
2008年3月から量産を開始しつつ、非常用電源・風力発電平準化電源への産業用途、電動アシスト自転車・ハイブリッド車など電動車両への適用を模索し、2015年度には売上高1000億円規模を目指すらしい。
発表された「SCiB」性能の特性上、モバイル用リチウムイオン電池の電圧やエネルギー密度が及ばないことから、現状では携帯電話・パソコン機器向けとは位置づけられていないのが残念です。
しかしコバルトはレアメタル(稀少金属)ですから、チタン適用電池の方がコスト的にも安価に出来る可能性も秘めています。
燃料電池(Fuel Cell)と共に期待したい技術ですし、小型化は寧ろ高性能リチウムイオン電池の方が向いているのではと思っています。
東芝は12月11日、高温や低温など過酷な条件下でも発火や破裂の恐れが少ない新型の高性能リチウムイオン電池「SCiB(Super Charge ion Battery)」開発成功と事業化計画を発表しました。
「高い安全性、長寿命、急速充電性能、高出力、低温性能」との特徴が挙げられています。
負極材に従来のコバルト酸リチウム(LiCoO2)に替えてチタン酸リチウム(LiTiO2)を採用、引火点の高い電解液や耐熱性セパレータを組み合わせ、内部短絡が起こっても熱暴走を起こしにくい。
バッテリを物理的につぶして短絡させても、セル温度は100℃未満で収まり、発煙も発火も生じない。
急速充電を3000回繰り返しても容量低下は10%未満、約5000回を超える繰り返し充放電が可能。5分間で電池容量の90%以上の充電が可能。
電気二重層キャパシタ並みの高い入出力性能(パワー密度)、マイナス30度の低温環境でも十分な性能を維持するとされている。
2008年3月から量産を開始しつつ、非常用電源・風力発電平準化電源への産業用途、電動アシスト自転車・ハイブリッド車など電動車両への適用を模索し、2015年度には売上高1000億円規模を目指すらしい。
発表された「SCiB」性能の特性上、モバイル用リチウムイオン電池の電圧やエネルギー密度が及ばないことから、現状では携帯電話・パソコン機器向けとは位置づけられていないのが残念です。
しかしコバルトはレアメタル(稀少金属)ですから、チタン適用電池の方がコスト的にも安価に出来る可能性も秘めています。
燃料電池(Fuel Cell)と共に期待したい技術ですし、小型化は寧ろ高性能リチウムイオン電池の方が向いているのではと思っています。
月曜日, 12月 03, 2007
C-X輸送機用エンジン選定
私が初めて飛行体験したのは、航空自衛隊木更津基地でのC-46輸送機で、1963年のことでした。座席後部には落下傘降下用の開口部があって、歩いて行けば落ちるのだと少し怖かった思い出も残っています。

それから45年経ちましたが、驚くほど防衛用輸送機は進歩しようとしています。それにつれて調達費用も莫大となり、防衛利権が暗躍する事態となり、賄賂・収賄が取り沙汰されているのは許されることではありませんが、エンジン選定結果そのものは極めて妥当だと思っています。
C-X (Cargo aircraft-X) は、防衛省・航空自衛隊における「次期輸送機」の一般名称で、第一次C-XはC-46の後継として1960年代に計画され、防衛庁技術研究本部と川崎重工業が開発したターボファンエンジン双発の中型輸送機でC-1として採用された。
第二次C-XはC-1の後継として2000年に計画され、防衛省技術研究本部と川崎重工業にて開発が進められている、ターボファンエンジン双発の大型戦術輸送機である。
C-1と比較し積載量は3.75倍・飛行速度は1.2倍、航続距離はC-1がペイロード8t搭載時に約810kmに対し、C-Xは12t搭載時に約8,900kmとなっている。
C-X技術仕様
乗員: 3名(パイロット2名・ロードマスター1名)
寸法: 43.9m L x 44.4mW x 14.2mH
最大離陸重量: 141,100kg
最大積載量: 37,600kg
エンジン出力: 27,900kg(推定)×2
巡航速度: Mach 0.8 (高度12,200mのとき)
巡航高度: 12,200m
航続距離: 0t/10,000km 12t/8,900km 37t/5,600km
装備するエンジンは、ロールス・ロイス(RR)、ゼネラル・エレクトリック(GE)、プラット&ホイットニー(P&W)の3社からの提案を検討した結果、2003年8月にGEのCF6-80C2型エンジンを採用した。CF6-80C2のカタログ価格は1基1,000万ドルである。
選定に際しては、導入されているB747-400(政府専用機)やE-767、導入予定のKC-767が同一エンジンを採用しており、整備面で都合が良いことから決定されたと思われる。海外でも広く普及している為、渡航先での整備拠点もあり、又日本国内のエアラインもボーイング社製の機体と共に、同系統エンジンを600基以上採用しており、信頼性の高さと国内での運用経験も選定の根拠とされている。
この大型ファンエンジンを供給出来るのは、ゼネラル・エレクトリック(General Electric: GE)社、ユナイテド・テクノロジー(United Technologies)傘下のプラット&ホイットニー(Pratt & Whitney: P&W)社、ロールス・ロイス(Rolls Royce: RR)社と、世界に3社しかなく、選定候補は次の様だったと思われます。
P&W候補エンジン: PW-4062 (推力 28,100kg)
GE候補エンジン: CF6-80-C2(推力 27,900kg)
RR候補エンジン: RB-211-524G(推力 27,200kg)
いずれのファンジェットも優れたエンジンですが、私が選定責任を負わされても、燃料消費(Fuel Economy)・運用実績(Flight Experience)・整備体制(Logistics Support)・環境適合(Low Emission)などの観点から、多分GE社のCF6エンジンを選んだと思います。
民間大型旅客機B747開発ではP&W社JT9DとRR社RB211が搭載エンジンを競ったのですが、JT9Dに軍配が上がり、RR社は開発費が嵩んだことで倒産し英国策会社となりました。
遅れを取ったGE社は軍用輸送機C5A‐Galaxy(ペイロード118t:大型戦車輸送可能)搭載のTF39を受注することで、それを民間用に設計変更しCF6シリーズを展開、燃料消費率の優秀さから民間大型旅客機への搭載が増加してP&W社JT9DとRR社RB211を凌駕する事態となりました。
そこでP&W社はJT9Dエンジンを全面設計変更してPW4000シリーズを展開して、3社供給体制を維持して来たのです。
今回のC-X輸送機用エンジン選定問題、山田洋行が防衛利権を掛けて暗躍し賄賂・収賄が取りざたされていますが、選定結果そのものは極めて妥当だと思っています。

それから45年経ちましたが、驚くほど防衛用輸送機は進歩しようとしています。それにつれて調達費用も莫大となり、防衛利権が暗躍する事態となり、賄賂・収賄が取り沙汰されているのは許されることではありませんが、エンジン選定結果そのものは極めて妥当だと思っています。
C-X (Cargo aircraft-X) は、防衛省・航空自衛隊における「次期輸送機」の一般名称で、第一次C-XはC-46の後継として1960年代に計画され、防衛庁技術研究本部と川崎重工業が開発したターボファンエンジン双発の中型輸送機でC-1として採用された。
第二次C-XはC-1の後継として2000年に計画され、防衛省技術研究本部と川崎重工業にて開発が進められている、ターボファンエンジン双発の大型戦術輸送機である。
C-1と比較し積載量は3.75倍・飛行速度は1.2倍、航続距離はC-1がペイロード8t搭載時に約810kmに対し、C-Xは12t搭載時に約8,900kmとなっている。
C-X技術仕様
乗員: 3名(パイロット2名・ロードマスター1名)
寸法: 43.9m L x 44.4mW x 14.2mH
最大離陸重量: 141,100kg
最大積載量: 37,600kg
エンジン出力: 27,900kg(推定)×2
巡航速度: Mach 0.8 (高度12,200mのとき)
巡航高度: 12,200m
航続距離: 0t/10,000km 12t/8,900km 37t/5,600km
装備するエンジンは、ロールス・ロイス(RR)、ゼネラル・エレクトリック(GE)、プラット&ホイットニー(P&W)の3社からの提案を検討した結果、2003年8月にGEのCF6-80C2型エンジンを採用した。CF6-80C2のカタログ価格は1基1,000万ドルである。
選定に際しては、導入されているB747-400(政府専用機)やE-767、導入予定のKC-767が同一エンジンを採用しており、整備面で都合が良いことから決定されたと思われる。海外でも広く普及している為、渡航先での整備拠点もあり、又日本国内のエアラインもボーイング社製の機体と共に、同系統エンジンを600基以上採用しており、信頼性の高さと国内での運用経験も選定の根拠とされている。
この大型ファンエンジンを供給出来るのは、ゼネラル・エレクトリック(General Electric: GE)社、ユナイテド・テクノロジー(United Technologies)傘下のプラット&ホイットニー(Pratt & Whitney: P&W)社、ロールス・ロイス(Rolls Royce: RR)社と、世界に3社しかなく、選定候補は次の様だったと思われます。
P&W候補エンジン: PW-4062 (推力 28,100kg)
GE候補エンジン: CF6-80-C2(推力 27,900kg)
RR候補エンジン: RB-211-524G(推力 27,200kg)
いずれのファンジェットも優れたエンジンですが、私が選定責任を負わされても、燃料消費(Fuel Economy)・運用実績(Flight Experience)・整備体制(Logistics Support)・環境適合(Low Emission)などの観点から、多分GE社のCF6エンジンを選んだと思います。
民間大型旅客機B747開発ではP&W社JT9DとRR社RB211が搭載エンジンを競ったのですが、JT9Dに軍配が上がり、RR社は開発費が嵩んだことで倒産し英国策会社となりました。
遅れを取ったGE社は軍用輸送機C5A‐Galaxy(ペイロード118t:大型戦車輸送可能)搭載のTF39を受注することで、それを民間用に設計変更しCF6シリーズを展開、燃料消費率の優秀さから民間大型旅客機への搭載が増加してP&W社JT9DとRR社RB211を凌駕する事態となりました。
そこでP&W社はJT9Dエンジンを全面設計変更してPW4000シリーズを展開して、3社供給体制を維持して来たのです。
今回のC-X輸送機用エンジン選定問題、山田洋行が防衛利権を掛けて暗躍し賄賂・収賄が取りざたされていますが、選定結果そのものは極めて妥当だと思っています。
土曜日, 12月 01, 2007
M82星雲-すばる望遠鏡の宇宙

おおぐま座にあり、1200万光年の彼方に位置する銀河M82星雲の可視画像。
大きく左右に伸びた白い星雲が星の集団で、上下に広がる赤い筋は中心部での星形成が引き起こす高温の水素ガス風だ。
この銀河の中心部では太陽の10倍以上の巨星が一時に何万個と生まれるのだから、実に激しい爆発的星形成銀河(Starburst Galaxy)だ。
此処までスケールが大きくなって来ますと、人生への屈託も無く、純粋にロマンと知識探究の楽しみのみで痛快の限りです。
人類は太古の昔から、夜空の天体を観測し、星座を作っては神話と融合させる楽しみを育んで来ました。近世、ガリレオの屈折式望遠鏡、ニュートンの反射式望遠鏡の発明からは詳細な天文学も発達して、ロマンがより壮大なものになりました。
すばる望遠鏡の宇宙-岩波新書(著者 海部宣男 写真 宮下暁彦)
著者は、1999年400億円を掛けてハワイ島マウナケア山頂に設置した日本が誇る「8.2mすばる望遠鏡」のプロジェクト・リーダとして建設・運用を纏め上げた経過・結果を記述したもので、直接責任者としての思いが強く感じられる著作となっています。
機器製作、現地建設、運用後の天体写真も、多数のカラー写真で説明されるので、読んでも眺めていても楽しいものがありました。
「すばる望遠鏡」性能の素晴らしさから、数々の成果を得て、ビッグバンから宇宙が膨張し続けている様子、アインシュタイン相対性理論の重力による光の歪みも検証出来たことが平易に説明されています。
著者は、技術論から科学論まで説得力があり、プロジェクト・リーダとしても、天体研究者として優秀なのだと実感させるものがありました。
アルマは、日本の国立天文台、EUのヨーロッパ南天文台(ESO)、米国の国立電波天文台(NRAO)の3者が協力して建設、運営する大電波望遠鏡。
南米チリ標高5000mのアタカマ高原に80基の高精度パラボラを10km以上の範囲に配置するプロジェクトは進行中で、精密なアンテナ搬入も始まっている。
「すばる望遠鏡」以降の新しい大型精密望遠鏡計画の紹介もあって、天体への知識欲・探究心は留まることが無い様です。
月曜日, 11月 26, 2007
新聞社 破綻したビジネスモデル(新潮新書)
言論の自由が役立つ場面よりも、報道被害の方が目に付く中で、国民は「マスコミは知る権利に本当に応えているのか。寧ろ私権を侵害しているのではないか。マスコミに公共性があるとするなら、具体的に示して欲しい」と問いかけるようになった。実際、ワイドショーの中には自分で自分の首を絞めているとしか思えないものがあります。
著者の河内孝氏は、毎日新聞の営業担当常務を務めた人物で、業界内でも語られない販売の裏側について、生々しく紹介しているのは珍しいかも知れません。
「販売が大変だから改革せねばならない」ことには、全員賛成でした。改革案を役員会に提示し全員一致で決めたのです。身を切る改革に販売局、販売店主達から相当の反発、抵抗が起きることも当然覚悟していました。
結果的には私には想定内の事態が、他の人達には予想外の深刻な事態になってしまい、改革は挫折し、私は退任・退社したのですが、誠に残念でした。
ジャーナリズムを議論するのでなく、ビジネスとしての将来像を見つめることで、これまでの新聞批判本とは違う特異性はあります。
3大新聞と呼ばれて来ましたが、圧倒的に読売、朝日のメガ新聞に差を開けられてしまった、毎日新聞の再生の為に採るべき方向を指し示しているのが本書の狙いの様でした。
それは第三極構想とされ、毎日新聞を中心に産経新聞・中日新聞が業務提携するというもので、中部圏では非常に強固な地盤を持つ中日、首都圏では産経、九州地区では毎日が強い地盤なので、連携すれば全国紙の展望が開けると言うのです。
しかし、毎日サイドの我田引水的な色彩が濃く、連携相手とされる産経・中日側には、危機に瀕した毎日と連携するメリットは少ないのでは懸念せざるを得ません。
結局は、社内改革抗争に敗れた著者が、出版社の力を借りてその改革案を世に問うた著作ですが、読み進む内に社内文書を読まされている感じがして仕方がなく、何とも読み応えが無いのが如何にも残念でした。
著者の河内孝氏は、毎日新聞の営業担当常務を務めた人物で、業界内でも語られない販売の裏側について、生々しく紹介しているのは珍しいかも知れません。
「販売が大変だから改革せねばならない」ことには、全員賛成でした。改革案を役員会に提示し全員一致で決めたのです。身を切る改革に販売局、販売店主達から相当の反発、抵抗が起きることも当然覚悟していました。
結果的には私には想定内の事態が、他の人達には予想外の深刻な事態になってしまい、改革は挫折し、私は退任・退社したのですが、誠に残念でした。
ジャーナリズムを議論するのでなく、ビジネスとしての将来像を見つめることで、これまでの新聞批判本とは違う特異性はあります。
3大新聞と呼ばれて来ましたが、圧倒的に読売、朝日のメガ新聞に差を開けられてしまった、毎日新聞の再生の為に採るべき方向を指し示しているのが本書の狙いの様でした。
それは第三極構想とされ、毎日新聞を中心に産経新聞・中日新聞が業務提携するというもので、中部圏では非常に強固な地盤を持つ中日、首都圏では産経、九州地区では毎日が強い地盤なので、連携すれば全国紙の展望が開けると言うのです。
しかし、毎日サイドの我田引水的な色彩が濃く、連携相手とされる産経・中日側には、危機に瀕した毎日と連携するメリットは少ないのでは懸念せざるを得ません。
結局は、社内改革抗争に敗れた著者が、出版社の力を借りてその改革案を世に問うた著作ですが、読み進む内に社内文書を読まされている感じがして仕方がなく、何とも読み応えが無いのが如何にも残念でした。
水道本管(ダクタイル鋳鉄)の更正工事-多摩ニュータウンの事例
多摩ニュータウンでは幹線道路での水道管の更正工事が始まって久しく、半年を経過しても完了していません。処々に路線規制もあり、アスファルト路面も凸凹でとてもスムーズな走行は出来ません。
当初はねずみ鋳鉄(Gray Cast Iron)管からダクタイル鋳鉄(Ductile Iron)管への更新をしているのかと思っていたのですが、1970年代に開発された多摩ニュータウン地区は最初からダクタイル鋳鉄(Ductile Iron)管が敷設されていた様で、今回は「高度浄水」のコンセプトにも対応した管内エポキシ塗装を更新・更正する工事の様です。
東京都水道局では、平成19年4月からNS形ダクタイル鋳鉄管の採用口径を呼び径75~250mmまでを呼び径1,000mmまで拡大したことに伴い、説明会を平成19年3月に開催しました。
その後の入札結果から、施工企業が選定し、ダクタイル鋳鉄管の直管の管内面塗装を現行の呼び径350mmから呼び径1,000mmまでモルタルライニングからエポキシ樹脂粉体塗装への変更工事を行いますのでお知らせします。
留意事項:
US形ダクタイル鋳鉄管の内面継手管・ダクタイル鋳鉄管推進工法など、管路内での作業を伴うものについては、従来どおりモルタルライニング管としますのでご注意ください。
ダクタイル鋳鉄とは、普通鋳鉄の衝撃に弱い欠点を克服し、鋳鉄でありながら鋼と変わらない強度と伸び特性を持つ「球状黒鉛鋳鉄」。1954年クボタが世界にさきがけて大口径ダクタイル鋳鉄管の製造に成功させ、1957年には遠心力鋳造法によるダクタイル鋳鉄管の量産を実現させた。
厚生省では1991年には「フレッシュ水道計画」を策定、「質の高い水道施設づくり」として21世紀に向けた水道整備の長期目標を示し、地震などの災害にも強い水道を強調した。更にモータリゼーション進展により管路に加わる荷重は一層の増大傾向にあり、広範な地域で発生している地盤沈下と言う深刻な課題克服もあり、ダクタイル鋳鉄管は、瞬間的に発生する巨大な衝撃に耐え、長期間にわたって厳しい圧力に耐える要求に応える戦略素形材として位置付けられている。
又、現代の都市事情・交通事情に見合った新しい施工技術。たとえば「パイプ・イン・パイプ工法」「既設管破砕推進工法」も開発されている。既設パイプをさや管としてその中に新パイプを挿入し管路更新する工法である。パイプ接合を省人自動化する「接合ロボット」の研究開発も進む。「高度浄水」のコンセプトにも対応したパイプ内面処理技術の高度化(内面エポキシ樹脂粉体塗装)も進む。
幹線水道本管がエポキシ塗装となりますと、各家庭への小さな給水管は塩ビ製ですから、これでは全てプラスチック配管で供給された水道水を飲むことになり、プラスチックからは環境ホルモン物質の溶解が懸念されることになります。
この様なシステムを変更することは困難と思われますが、近頃多くなった飲料水・お茶販売なども全てペットボトルで販売されていますので、その不安は消えません。
当初はねずみ鋳鉄(Gray Cast Iron)管からダクタイル鋳鉄(Ductile Iron)管への更新をしているのかと思っていたのですが、1970年代に開発された多摩ニュータウン地区は最初からダクタイル鋳鉄(Ductile Iron)管が敷設されていた様で、今回は「高度浄水」のコンセプトにも対応した管内エポキシ塗装を更新・更正する工事の様です。
東京都水道局では、平成19年4月からNS形ダクタイル鋳鉄管の採用口径を呼び径75~250mmまでを呼び径1,000mmまで拡大したことに伴い、説明会を平成19年3月に開催しました。
その後の入札結果から、施工企業が選定し、ダクタイル鋳鉄管の直管の管内面塗装を現行の呼び径350mmから呼び径1,000mmまでモルタルライニングからエポキシ樹脂粉体塗装への変更工事を行いますのでお知らせします。
留意事項:
US形ダクタイル鋳鉄管の内面継手管・ダクタイル鋳鉄管推進工法など、管路内での作業を伴うものについては、従来どおりモルタルライニング管としますのでご注意ください。
ダクタイル鋳鉄とは、普通鋳鉄の衝撃に弱い欠点を克服し、鋳鉄でありながら鋼と変わらない強度と伸び特性を持つ「球状黒鉛鋳鉄」。1954年クボタが世界にさきがけて大口径ダクタイル鋳鉄管の製造に成功させ、1957年には遠心力鋳造法によるダクタイル鋳鉄管の量産を実現させた。
厚生省では1991年には「フレッシュ水道計画」を策定、「質の高い水道施設づくり」として21世紀に向けた水道整備の長期目標を示し、地震などの災害にも強い水道を強調した。更にモータリゼーション進展により管路に加わる荷重は一層の増大傾向にあり、広範な地域で発生している地盤沈下と言う深刻な課題克服もあり、ダクタイル鋳鉄管は、瞬間的に発生する巨大な衝撃に耐え、長期間にわたって厳しい圧力に耐える要求に応える戦略素形材として位置付けられている。
又、現代の都市事情・交通事情に見合った新しい施工技術。たとえば「パイプ・イン・パイプ工法」「既設管破砕推進工法」も開発されている。既設パイプをさや管としてその中に新パイプを挿入し管路更新する工法である。パイプ接合を省人自動化する「接合ロボット」の研究開発も進む。「高度浄水」のコンセプトにも対応したパイプ内面処理技術の高度化(内面エポキシ樹脂粉体塗装)も進む。
幹線水道本管がエポキシ塗装となりますと、各家庭への小さな給水管は塩ビ製ですから、これでは全てプラスチック配管で供給された水道水を飲むことになり、プラスチックからは環境ホルモン物質の溶解が懸念されることになります。
この様なシステムを変更することは困難と思われますが、近頃多くなった飲料水・お茶販売なども全てペットボトルで販売されていますので、その不安は消えません。
月曜日, 11月 12, 2007
石油100ドル/バレル時代の衝撃-代替石油の可能性
石油価格の指標となるNY原油 WTIは現時点95ドル/バレルとなっていて、今にも100ドルを超える情勢となるに留まらず150~200ドル/バレルも予測され、生活への影響は甚大になりつつあります。
一方NY天然ガスは8.3ドル/MMBTUで、相場価格は倍額近く上昇しているものの、原油程の高騰とはなっていません。しかし、このままの単位単価ではエネルギー源としての価格比較は難しいので、原油価格を熱量ベースで天然ガスと同じ単位になる様に算出することにしたい。
1バレル=42ガロン(=159リッター)、石油密度8.34lb/ガロン(=0.82kg/リッター)、石油熱量18,000BTU/lb(=10,000kcal/kg)とすると、石油1バレルに含まれる熱量は(42*8.34*18,000BTU)=6.3MMBTUとなる。
即ち、原油 WTI価格は95ドル/6.3MMBTU=15.1ドル/MMBTUとなり、同じ熱量の天然ガス価格に比べて概略1.8倍の価格となっていることに留意したく、やはり原油相場は極めて投機的色彩が強いのです。
日本の電力・ガス各社はLNGバッチ輸送にて25年長期契約で天然ガスを輸入しており、3ドル/MMBTU程度で、現時点驚くほど安価なエネルギー源となっています。
この天然ガスから代替石油を製造し流通させるのが、バイオ燃料と異なり食料穀物市場との軋轢も無く、現時点では最善の方法と考えています。
フィッシャー・トロプシュ(FT)法を用い天然ガスから石油を製造するGTL(Gas to Liquids)商業用プラントが稼働している。
GTL技術により精製した石油は、硫黄やアロマ分(芳香族)を含まず、排気ガス中の煤塵や硫黄酸化物の有害物質が少なく、環境への負荷が小さい次世代エネルギーとして注目されている。
2006年シェル社ではマレーシアの商業用プラントを稼働させつつ、2010年を目途にメジャー他社とも共同でカタールに世界最大規模のGTLプラントを完成させ、普及拡大を図る方針と伝えられる。日本でも石油資源開発で研究が進められていて、2007年9月新潟市で実証プラントの起工式が行われ、2008年の完成を目指すとされている。
このGTL代替石油、原油よりも可採年数が長いとされる天然ガスを利用するので、長期の安定供給が可能とみられている。又、マイナス162℃の液化天然ガス(LNG)とは異なり、常温での流通が可能で、従来の石油インフラが全て使える利点がある。
1年前に記述しました“GTL-クリーンな代替石油”と言う日記はこちらです
石油時代は終わったと極論する人もありますが、ハンドリング容易なことから離れ難いものがあるのです。
しかし、経済発展に合わせて石油供給量を増やすことを画策するのでは無く、省エネを進めて石油使用量を何とか少なくする工夫が、今求められている喫緊の課題だと思っています。
一方NY天然ガスは8.3ドル/MMBTUで、相場価格は倍額近く上昇しているものの、原油程の高騰とはなっていません。しかし、このままの単位単価ではエネルギー源としての価格比較は難しいので、原油価格を熱量ベースで天然ガスと同じ単位になる様に算出することにしたい。
1バレル=42ガロン(=159リッター)、石油密度8.34lb/ガロン(=0.82kg/リッター)、石油熱量18,000BTU/lb(=10,000kcal/kg)とすると、石油1バレルに含まれる熱量は(42*8.34*18,000BTU)=6.3MMBTUとなる。
即ち、原油 WTI価格は95ドル/6.3MMBTU=15.1ドル/MMBTUとなり、同じ熱量の天然ガス価格に比べて概略1.8倍の価格となっていることに留意したく、やはり原油相場は極めて投機的色彩が強いのです。
日本の電力・ガス各社はLNGバッチ輸送にて25年長期契約で天然ガスを輸入しており、3ドル/MMBTU程度で、現時点驚くほど安価なエネルギー源となっています。
この天然ガスから代替石油を製造し流通させるのが、バイオ燃料と異なり食料穀物市場との軋轢も無く、現時点では最善の方法と考えています。
フィッシャー・トロプシュ(FT)法を用い天然ガスから石油を製造するGTL(Gas to Liquids)商業用プラントが稼働している。
GTL技術により精製した石油は、硫黄やアロマ分(芳香族)を含まず、排気ガス中の煤塵や硫黄酸化物の有害物質が少なく、環境への負荷が小さい次世代エネルギーとして注目されている。
2006年シェル社ではマレーシアの商業用プラントを稼働させつつ、2010年を目途にメジャー他社とも共同でカタールに世界最大規模のGTLプラントを完成させ、普及拡大を図る方針と伝えられる。日本でも石油資源開発で研究が進められていて、2007年9月新潟市で実証プラントの起工式が行われ、2008年の完成を目指すとされている。
このGTL代替石油、原油よりも可採年数が長いとされる天然ガスを利用するので、長期の安定供給が可能とみられている。又、マイナス162℃の液化天然ガス(LNG)とは異なり、常温での流通が可能で、従来の石油インフラが全て使える利点がある。
1年前に記述しました“GTL-クリーンな代替石油”と言う日記はこちらです
石油時代は終わったと極論する人もありますが、ハンドリング容易なことから離れ難いものがあるのです。
しかし、経済発展に合わせて石油供給量を増やすことを画策するのでは無く、省エネを進めて石油使用量を何とか少なくする工夫が、今求められている喫緊の課題だと思っています。
金曜日, 10月 05, 2007
超臨界水による廃液処理
今朝のNHKニュースで、広島県の機械メーカが「超臨界水による廃液処理装置」を製造・販売していることが報じられていました。
注目しているのは焼酎メーカ業界、醸造後の廃液を従来は海上投棄していたのですが、これからは投棄禁止となり、年間22万トンに及ぶ廃液処理は喫緊の課題となりました。
デモンストレーションによると、どろどろの廃液は、超臨界水を使うことで水と2酸化炭素ガスに分解され、固形物は何も残りません。
しかしニュースで見る限り、実験室規模に近く、年間22万トンに及ぶ大型廃液処理プラントが実現するには未だ壁が幾つかある様な気がします。
それでもこのようなニュース報道には、環境技術の進歩が感じられ、持続可能な社会実現への一歩とも思われ、嬉しいものがあります。
超臨界流体は、入り込む気体の性質(拡散性)と、成分を溶かす液体の性質(溶解性)を持っていますので、環境/医薬品分野での有機溶媒の代替としても利用でき、環境に優しい技術として注目を浴びています。
水の場合は圧力22.1MPa・温度374℃、二酸化炭素の場合は圧力7.4MPa・温度31℃を超えた領域で超臨界状態となります。
超臨界水利用は1990年代中頃から始まっていましたが、超臨界二酸化炭素に比べて相当の高温・高圧が必要で、特有の取り扱い難さを伴って進展はなかなかの様でした。
しかし、燃焼処理とは異なり、ダイオキシンやNOx(窒素酸化物)等は発生しませんので、特にプラスチック処理・ダイオキシン分解等には、環境にも優しい超臨界水利用の処理装置実用化の進展が期待されます。
この種の問題は、何時もコスト競争力の有無が、最後の難関となります。
溶剤を使わない超臨界二酸化炭素でのクリーニングは、環境に優しく繊維を傷めず、色落ちも無いことで、数年前に話題になりましたが、現在業界に浸透しつつあるのでしょうか?
注目しているのは焼酎メーカ業界、醸造後の廃液を従来は海上投棄していたのですが、これからは投棄禁止となり、年間22万トンに及ぶ廃液処理は喫緊の課題となりました。
デモンストレーションによると、どろどろの廃液は、超臨界水を使うことで水と2酸化炭素ガスに分解され、固形物は何も残りません。
しかしニュースで見る限り、実験室規模に近く、年間22万トンに及ぶ大型廃液処理プラントが実現するには未だ壁が幾つかある様な気がします。
それでもこのようなニュース報道には、環境技術の進歩が感じられ、持続可能な社会実現への一歩とも思われ、嬉しいものがあります。
超臨界流体は、入り込む気体の性質(拡散性)と、成分を溶かす液体の性質(溶解性)を持っていますので、環境/医薬品分野での有機溶媒の代替としても利用でき、環境に優しい技術として注目を浴びています。
水の場合は圧力22.1MPa・温度374℃、二酸化炭素の場合は圧力7.4MPa・温度31℃を超えた領域で超臨界状態となります。
超臨界水利用は1990年代中頃から始まっていましたが、超臨界二酸化炭素に比べて相当の高温・高圧が必要で、特有の取り扱い難さを伴って進展はなかなかの様でした。
しかし、燃焼処理とは異なり、ダイオキシンやNOx(窒素酸化物)等は発生しませんので、特にプラスチック処理・ダイオキシン分解等には、環境にも優しい超臨界水利用の処理装置実用化の進展が期待されます。
この種の問題は、何時もコスト競争力の有無が、最後の難関となります。
溶剤を使わない超臨界二酸化炭素でのクリーニングは、環境に優しく繊維を傷めず、色落ちも無いことで、数年前に話題になりましたが、現在業界に浸透しつつあるのでしょうか?
土曜日, 9月 01, 2007
ボーイング737事故原因は設計変更不良の疑い
ボーイング737事故原因は設計変更不良の疑いが濃くなり、ボーイング社の製造物賠償責任(PL)法を始めとする法的責任が問われることになる気配となりました。
ボーイング737旧世代機からハイテク装備の新世代機にする際、前部可動翼(スラット)アームを取り付けるナット直径をボルト穴とほぼ同じで抜けやすいものになっていたことが分かった。
旧世代機のナットは直径1.4cmで、新世代機より30%大きい。アーム穴はそれより小さく、しかもボルト穴とナットの間にあるダウンストップ内径は0.8cmで、ワッシャーが無くてもナットが抜けない構造となっていた。
新世代機ではナット直径1.06cm、スラットアーム穴1.12cm、ダウンストップ内径は1.06cmであり、ワッシャーの介在無しには抜け落ちる懸念のある構造となっている。
整備士は「旧世代機の仕様の方が理にかなっている」と話している。
何故その様な設計変更が行われたのか現段階では不明ですが、私は「部品共通性を図った結果」だと推測しています。
何十万点ともなる航空機部品は、共通化が図られれば製造コストダウンも達成出来ますし、使用工具類も少なくなりますので、組立・整備工数も格段に少なくなるのです。
今回問題となったナットは、飛行機での違う構造部材との共通部品になっているに違いありません。
設計時の設計審査(デザイン・レビュー)では、他方面からFail Safe(間違っても安全な運行可能)・Fault Tolerant(未習熟の行為でも安全性確保)が厳しく問われる筈なのにと考えますと、何故見過ごされたのか不思議でなりません。
万全を期しても人知は限りがあるのですが、今回の不具合は「企業倫理を忘れコスト優先に走った」と言う企業営業論理の結果かも知れません。
ボーイング737旧世代機からハイテク装備の新世代機にする際、前部可動翼(スラット)アームを取り付けるナット直径をボルト穴とほぼ同じで抜けやすいものになっていたことが分かった。
旧世代機のナットは直径1.4cmで、新世代機より30%大きい。アーム穴はそれより小さく、しかもボルト穴とナットの間にあるダウンストップ内径は0.8cmで、ワッシャーが無くてもナットが抜けない構造となっていた。
新世代機ではナット直径1.06cm、スラットアーム穴1.12cm、ダウンストップ内径は1.06cmであり、ワッシャーの介在無しには抜け落ちる懸念のある構造となっている。
整備士は「旧世代機の仕様の方が理にかなっている」と話している。
何故その様な設計変更が行われたのか現段階では不明ですが、私は「部品共通性を図った結果」だと推測しています。
何十万点ともなる航空機部品は、共通化が図られれば製造コストダウンも達成出来ますし、使用工具類も少なくなりますので、組立・整備工数も格段に少なくなるのです。
今回問題となったナットは、飛行機での違う構造部材との共通部品になっているに違いありません。
設計時の設計審査(デザイン・レビュー)では、他方面からFail Safe(間違っても安全な運行可能)・Fault Tolerant(未習熟の行為でも安全性確保)が厳しく問われる筈なのにと考えますと、何故見過ごされたのか不思議でなりません。
万全を期しても人知は限りがあるのですが、今回の不具合は「企業倫理を忘れコスト優先に走った」と言う企業営業論理の結果かも知れません。
火曜日, 7月 17, 2007
SS400とSPHC-フジテック・エレベーターの強度不足問題
フジテック・エレベーターの強度不足問題ではつくづく日本製造業の技術力低下を実感しました。
技術力は組織の総合力によって支えられ、設計、製造、購買、営業の各部門がベクトルを合わせて良い製品を造り上げることにあると言っても良い。
何らかの変更が余儀なくされた時は、各部門が連携をとってより良い製品への設計変更・次善の策を模索する方法が長い間培われて来たのです。その中でも、設計部門においては担当者の考えがOJTで上司からダブルチェック・トリプルチェックされ、設計組織全体の責任として他部門に展開されたのです。
強度部材用のSS400に比べ、板金プレート部材のSPHCは強度的に30%劣るのに、見過ごされたミスは信じられません。
今回の強度不足問題は、購買と設計の連携不足にあると言っても間違い無く、担当者の「少しでも安価な鋼材でも良い」と判断したことにありそうだ。
人間個人の考え方には限界があり、総合的組織判断力に委ねる必要があるのだが、今回は欠落していたと断ぜざるを得ません。
売上高・利益率至上主義の蔓延で、部門内のOJTもままならず、又部門間の連携が破壊され、日本製造業の技術力低下は加速度的に低下しているのだと危惧しています。
SS400 一般構造用圧延鋼材(JIS G3101)
SS(Structural Steel)400:最小引張強さ400N/mm2
用途 車両、建築、橋梁、船舶等の強度部材
SPHC 熱間圧延軟鋼及び鋼帯(JIS G3131)
SPHC(Steel Plate Hot Commercial):最小引張強さ270N/mm2
用途 大型キャビネット、各種機械部品のプレート部材
しかし、「プレート部材を強度部材に使用するとは!」、ISO9000規格をどうのこうのと言う前に、基本的技術判断力に欠けた行為で愕然としてしまいます。
技術力は組織の総合力によって支えられ、設計、製造、購買、営業の各部門がベクトルを合わせて良い製品を造り上げることにあると言っても良い。
何らかの変更が余儀なくされた時は、各部門が連携をとってより良い製品への設計変更・次善の策を模索する方法が長い間培われて来たのです。その中でも、設計部門においては担当者の考えがOJTで上司からダブルチェック・トリプルチェックされ、設計組織全体の責任として他部門に展開されたのです。
強度部材用のSS400に比べ、板金プレート部材のSPHCは強度的に30%劣るのに、見過ごされたミスは信じられません。
今回の強度不足問題は、購買と設計の連携不足にあると言っても間違い無く、担当者の「少しでも安価な鋼材でも良い」と判断したことにありそうだ。
人間個人の考え方には限界があり、総合的組織判断力に委ねる必要があるのだが、今回は欠落していたと断ぜざるを得ません。
売上高・利益率至上主義の蔓延で、部門内のOJTもままならず、又部門間の連携が破壊され、日本製造業の技術力低下は加速度的に低下しているのだと危惧しています。
SS400 一般構造用圧延鋼材(JIS G3101)
SS(Structural Steel)400:最小引張強さ400N/mm2
用途 車両、建築、橋梁、船舶等の強度部材
SPHC 熱間圧延軟鋼及び鋼帯(JIS G3131)
SPHC(Steel Plate Hot Commercial):最小引張強さ270N/mm2
用途 大型キャビネット、各種機械部品のプレート部材
しかし、「プレート部材を強度部材に使用するとは!」、ISO9000規格をどうのこうのと言う前に、基本的技術判断力に欠けた行為で愕然としてしまいます。
水曜日, 6月 27, 2007
年金問題の正しい考え方-中公新書
社会保険庁が管理する年金保険料の内「宙に浮いた年金記録」が5095万件、更に93万件と1430万件もの不明年金が在ったことも発覚して、社会保険庁の杜撰さが指摘され、政府首脳のボーナス返納から社会保険庁職員のボーナス返上と、マスコミを賑わせている。
「年金問題を政争の具にすべきでは無い」と言うのは正論であるが、政治家の発言行動は混迷を極め、マスコミの論調も相変わらず異常事態を騒ぐだけで何の見通しも無く、一刻も早い「短期的な救済策」から「長期的且つ建設的な制度提言」が何も見えて来ない状況は「不可解」の一言に尽きる。
そこで、マスコミ情報に踊らされずに年金問題を考えてみたいと、下記の書籍を買って来ました。
年金問題の正しい考え方-中公新書(盛山和夫 著)
年金を巡る政治家の提言やマスコミの論調も、相変わらず混迷が続いている。元来、年金制度は人々に安心をもたらすものである筈なのだが、今ではそれ自体が不安の源となっている。
年金制度は現代福祉国家の持続可能性に関わっている。公的年金は社会的弱者だけの福祉ではなく、全ての国民を対象に生活基盤を安定化することを目指した包括的制度であって、国家が果たすべき基幹的機能の一つである。
今や社会保障費全体は毎年80兆円を超えて、ほぼ国家一般会計の予算規模に匹敵しているが、年金給付は半分の40兆円を超えており、GDP(国内総生産)の10%近くに達している。しかも、年金制度は、限られた世代を超えて異なる世代がお互いに協力し合いながら、永遠に続いて行くことを前提にした超長期的な社会的協働の制度である。
2004年国会において「年金制度改訂2004スキーム」が提出されたが、政治家の年金未加入問題でもめて、実質的な議論が出来ずに通過させてしまった。100年安心とも与党が自賛した「改訂年金制度」は、結局、公平性の観点からは失格していると警告している。
基本的な制度設計を、狭い範囲の官僚と専門学者と言った少数の人達だけに任せて来たのが、問題の根本解決を阻んできた最大の原因である。この状況を変えて、多くの人々が仕組みについての基本的知識を持った上で、積極的に議論参加出来る様にしなければならない。
そして、「望ましい年金制度は次の4項目の基準が満足することが必要で、専門家だけでなく、多くの人々が積極的に議論参加出来る様にしなければならない」とし、将来世代に対する我々の重大な責任としているのには説得力がありました。
基準1 持続可能であること
基準2 それぞれの世代内では、同一拠出に対して同一給付となること
基準3 異なる世代間で、相対的年金水準が一定に保たれること
準則 現役世代の負担が一方的に上昇したり、高齢者世代の給付水準が一方的に削減されないこと。
基準4 将来の拠出負担と給付水準は、人口変化と経済変化に左右されるが、どの様に決まるのか、明確な予測が提示されること
「年金問題を政争の具にすべきでは無い」と言うのは正論であるが、政治家の発言行動は混迷を極め、マスコミの論調も相変わらず異常事態を騒ぐだけで何の見通しも無く、一刻も早い「短期的な救済策」から「長期的且つ建設的な制度提言」が何も見えて来ない状況は「不可解」の一言に尽きる。
そこで、マスコミ情報に踊らされずに年金問題を考えてみたいと、下記の書籍を買って来ました。
年金問題の正しい考え方-中公新書(盛山和夫 著)
年金を巡る政治家の提言やマスコミの論調も、相変わらず混迷が続いている。元来、年金制度は人々に安心をもたらすものである筈なのだが、今ではそれ自体が不安の源となっている。
年金制度は現代福祉国家の持続可能性に関わっている。公的年金は社会的弱者だけの福祉ではなく、全ての国民を対象に生活基盤を安定化することを目指した包括的制度であって、国家が果たすべき基幹的機能の一つである。
今や社会保障費全体は毎年80兆円を超えて、ほぼ国家一般会計の予算規模に匹敵しているが、年金給付は半分の40兆円を超えており、GDP(国内総生産)の10%近くに達している。しかも、年金制度は、限られた世代を超えて異なる世代がお互いに協力し合いながら、永遠に続いて行くことを前提にした超長期的な社会的協働の制度である。
2004年国会において「年金制度改訂2004スキーム」が提出されたが、政治家の年金未加入問題でもめて、実質的な議論が出来ずに通過させてしまった。100年安心とも与党が自賛した「改訂年金制度」は、結局、公平性の観点からは失格していると警告している。
基本的な制度設計を、狭い範囲の官僚と専門学者と言った少数の人達だけに任せて来たのが、問題の根本解決を阻んできた最大の原因である。この状況を変えて、多くの人々が仕組みについての基本的知識を持った上で、積極的に議論参加出来る様にしなければならない。
そして、「望ましい年金制度は次の4項目の基準が満足することが必要で、専門家だけでなく、多くの人々が積極的に議論参加出来る様にしなければならない」とし、将来世代に対する我々の重大な責任としているのには説得力がありました。
基準1 持続可能であること
基準2 それぞれの世代内では、同一拠出に対して同一給付となること
基準3 異なる世代間で、相対的年金水準が一定に保たれること
準則 現役世代の負担が一方的に上昇したり、高齢者世代の給付水準が一方的に削減されないこと。
基準4 将来の拠出負担と給付水準は、人口変化と経済変化に左右されるが、どの様に決まるのか、明確な予測が提示されること
登録:
投稿 (Atom)
