「E85燃料」は15%のガソリンと85%のエタノール混合物を意味する表現ですが、米国・欧州では化石燃料使用を削減する、環境に優しい持続可能な燃料として注目されています。
従来からエタノールを混合することで、ガソリンのオクタン価が向上して燃焼効率が改善することは認識されていて、ハイオクガソリンとして販売されています。しかしエタノールは、ゴム・プラスチック製品に対して腐食性があること・潤滑性が無いことから、ホース類・燃料ポンプ等の耐久性が問題とされ、世界的には10%程度、日本では3%の含有率が安全であるとして制限していました。
アメリカでは、燃料タンク、配管等へのエタノール適合材料の使用することで、それらの難点を克服する対策がなされ、一気に85%混入させた「E85燃料」対応車が脚光を浴びることになりました。
日本ではハイブリッド車のみが脚光を浴び「E85燃料」対応車開発の動きも無い様ですが、廃材チップ等を使ったバイオマス手法によるエタノール生産が工業的に確立されるなら、環境保護の観点からも競合して来るものと期待されます。ハイブリッド車の2次電池寿命は長くなく、将来廃棄処理法が問題になると思っていますから・・
エタノールは他の燃料と比べても引火性が高く、煤も無く綺麗に燃焼する。従って、運輸面における環境に与える好影響は注目されており、(日本国外では)公共バスの燃料として使用されている。しかし純粋なエタノールはゴムやプラスチック機器を腐食することが明らかになっており、無改造の自動車エンジンでは使用できない。加えて、エタノールは普通のガソリンに比べオクタン価も高く、エンジンの点火タイミングの変更も必要である。
アメリカの自動車の大多数は改造無しにE85燃料で走行できる。大部分の車種がライトトラック(ミニバン、SUV、ピックアップトラック)の為である。このような自動車は"dual fuel vehicles" または "flexible fuel vehicles"と呼ばれ、自動的に燃料のタイプを検出し、エンジンシリンダー内の燃焼方式を変えて燃料の変化を補償する。トリオニック・マネジメントとも呼ばれるシステムは、給油毎に燃料の品質をモニタリングし、E85とガソリンとのいかなる組み合わせに対しても自動調整を行うことから、「E85燃料」が入手できないときにはガソリンを使用すれば良いことになる。
ブラジルとアメリカ合衆国では、サトウキビとトウモロコシ穀物由来のエタノールの自動車燃料への使用を政府の計画として促進している。トウモロコシ穀倉地帯の州は、1973年に起こったOPECによる石油輸出禁止の後でトウモロコシ由来のエタノールに補助金を与え始め、1978年制定のエネルギー税制度は、バイオ燃料の物品税免税を承認した。物品税免税だけでも年間14億US$と見積もられている。1986年に連邦政府のローン補償政策はエタノール植物の基盤を作り、無税トウモロコシによるエタノール生産を奨励した。
オクタン価で110の値を持つエタノールは、ガソリンに比べても遥かに勝っており、危険な他の添加物も不要となる利点がある。なお且つ、エタノールはガソリンの蒸気圧を増大させるので、大気中への揮発性物質の放出の増加は、鉛、ベンゼンあるいはMTBEといったものよりはるかに少なくなる。
金曜日, 9月 29, 2006
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