朝日新聞に「今更聞けない-メタンハイドレート」と言う記事が掲載されていました。分かり易い解説ですので転載致します。
メタンハイドレートはシャーベット状の物質で火を付けると燃えることから、別名は「燃える氷」と呼ばれる。日本近海にも豊富なことから、次世代のエネルギー源になるのでは期待されている。
ハイドレート(Hydrate)とは、水分子が作る籠の中にガス分子が閉じこめられた構造になっている「水和物」のことで、メタンがガス分子の場合は分解すると体積にして約170倍のメタンガスが出て来る。
メタンハイドレートは低温で高圧な場所程、安定して存在出来る。陸上ではシベリアやアラスカ、カナダ等永久凍土地帯に集中するが、圧倒的に多いのは海底だ。世界の分布を見ると、陸に近い大陸棚海底に集中しているのが分かる。日本周辺は世界的にみても埋蔵量が豊富で、天然ガス消費量の50~250年分が眠っていると試算されている。
ただ、水深が500mより深い海底下に形成されているので、採掘法が問題となる。現状有望とされるのはハイドレートを分解した上で発生したメタンをパイプで回収する方法と言われている。その他の採掘法についても種々の手法が検討されているが、何れもコスト面で問題があり研究者や技術者の試行錯誤が続いている。
世界的なエネルギー資源の不足から、原油・天然ガスの市場価格が高騰して来て経済的にも問題となり、代替燃料の開発が焦眉の急となって来ました。原油に関しては、1980年代にはカナダに埋蔵される「タールサンド(砂に原油が付着したもの)」、アメリカ中部の「オイルシェール(岩石中に原油が封入されたもの)」、1990年代には南米オリゴノ河の「オリゴノオイル(半固形の原油)」も検討されましたが、工業的採掘が困難として中断されたままとなっています。近年ではバイオマス燃料からエタノール製造する「持続可能なエネルギー供給」が検討され、工業的にも稼働を開始しました。しかし、エタノール燃料は補助的なもので、従来から圧倒的なエネルギー源である「原油・天然ガス」の代替が必要で、メタンハイドレート(MH)又は天然ガスハイドレート(NGH)の工業的採掘確立が強く期待されています。
石油天然ガス資源開発機構Webページでの「メタンハイドレート」も参照下さい
このハイドレート技術は炭酸ガス固定にも活用できます。地球温暖化をもたらす空気中の炭酸ガスを炭酸ガスハイドレートとして固定し、メタンハイドレートよりメタンガスを回収すると同時にハイドレート層に注入するのです。10年程前には、単に固定した炭酸ガスハイドレートを深海の海溝に沈めようとする研究でしたが、メタンハイドレート採掘跡に注入出来れば一挙両得です。この炭酸ガスの固化方法も2050年頃までには実用化され、エネルギー確保・地球温暖化防止対策に大いに役立つとも見込まれていますが、果たしてどうでしょうか?
木曜日, 9月 28, 2006
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