金曜日, 9月 29, 2006

超臨界流体技術

二酸化炭素削減、廃プラスチック処理等の環境管理を実施しないと地球は末期的症状から脱し得ないとされています。環境管理はReuse=再利用、Reduce=使用削減、Recycle=再商品化、Reject=使用拒否の4原則で進められています。
しかし、大量消費時代に使った廃プラスチックは埋め立てられ分解もされず地中環境を悪化させています。焼却処分すれば猛毒のダイオキシンが発生しますし困りものです。又有毒で保管されているPCBも、何とか処理しなくて行けません。次世代への先送りは許されないのです。

10年も前から注目され、漸く日の目を浴びている超臨界流体技術は二酸化炭素削減、有機溶媒使用削減、有害有機材分解等への切り札かも知れません。
超臨界流体とは、気体と液体が共存できる限界の温度・圧力(臨界点)を超えた状態にある特異な流体。特に注目されますのは私達が通常使っています水・水蒸気、二酸化炭素(炭酸ガス)で、水の場合は22.1MPax374℃、二酸化炭素の場合は7.4MPAx31℃を超えた領域で超臨界状態となります。
超臨界流体は、入り込む気体の性質(拡散性)と、成分を溶かす液体の性質(溶解性)を持っていますので、環境/医薬品分野での有機溶媒の代替としても利用でき、環境に優しい技術として注目を浴びています。

二酸化炭素の場合は常温・中圧で超臨界を実現出来ますので、実用化が進んでおり、先日テレビニュースでの特集紹介もありました。

TLO(技術移転機関)東北テクノアーチは、特許「超・亜臨界流体処理システムおよび装置」をオートランドリータカノ(仙台市)に技術移転し、その製品第一号が2005年春に実用化される。ドライクリーニング企業のオートランドリータカノは、従来の石油系や塩素系溶剤の代わりに二酸化炭素の臨界流体処理を用いるドライクリーニング手法を利用する製品を開発、まもなくクリーニング事業で利用し始めるもの。

これで、従来有機溶媒によるドライクリーニングに寄せられた、「費用が高い」「革製品が硬くなる」等の苦情が無くなるものと期待されています。
超臨界水利用は1990年代中頃から始まっていますが、高温・高圧でしか実現できず、特有の取り扱い難さを伴って進展はなかなかの様です。
使用範囲が広いのですが、特にプラスチック処理・ダイオキシン分解等での実用化開発の進展に期待しています。現在大型化と高温化が進むごみ焼却場ですが二酸化炭素低減対策とはならず、環境にも優しい超臨界水利用が望まれます。環境保全の有利性:燃焼処理とは異なり、ダイオキシンやNOx等は発生しません。無害化への挑戦:PCBやダイオキシンなどの難分解性物質も分解出来ます。
しかし、実験室段階を経て、この技術で現在のごみ焼却場のような大型プラントが実現するには相当時間が掛かりそうだと思わざるを得ませんが・・

尚、近頃、題になっているウォーターオーブン家庭用調理器ですが、これは超臨界水では無く単なる加熱水蒸気を使ったものですので、技術的難問はありません。

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