土曜日, 3月 21, 2015

なぜ中国は覇権の妄想をやめられないのか-石平著(PHP新書)

中国の民主化運動に傾倒し、日本での著作活動に転じた後、遂には日本国籍を取得した著者の出自から鑑み、覇権主義を標榜する中国共産党政権には厳しい。
日米同盟を強化し、近隣諸国を属国化を図る中国の囲い込みに奔走する安倍政権は正しいとして、それにエールを送る著作となっている。

習金平の目指す処は、嘗ての中国を頂点とした中華秩序の再建を目指すことで、毛沢東による中華秩序の再建が失敗に終わって40数年、鄧小平路線による富国強兵が達成された今、中華帝国の新皇帝となった習近平は、アジアを支配すると言う中華帝国の復権を目指し、その為には近代史においてその中華秩序をひっくり返した日本と言う国をねじ伏せておくことを必須案件として、その出足から日本に対して高圧・威嚇的態度に出た。

それを察知した安倍政権は、日本の安全保障を脅かす最大の脅威が即ち中国の覇権主義と軍拡と捉え、連携すべき相手ではなく、寧ろ警戒すべき潜在的脅威としたことは明らかだ。

米国の外交評論家キッシンジャーも「中国は平等な国家からなる世界システムに馴染めず、自国をトップ、唯一の主権国家と考え、外交は交渉よりも世界階層秩序で各国の位置づけを決めると考えている」と、警鐘を鳴らしている。

日本は今後どうするべきなのか。
先ずは米国との同盟関係が何より重要で、日本にとって最大の安全保障となっていることは論を俟たない。米国が提唱する「航海の自由を守る法秩序」は誰が見ても、覇権主義的な中華秩序よりも遥かに公正で正義に適ったものだ。
法に基づく平和秩序を守り、中華帝国の野望を封じ込める中核的存在として、中国共産党政権の海洋制覇を阻止して中華秩序の亡霊を葬り去ることが、戦前の歴史を超克してアジアの民主主義先進国となった日本の背負うべき使命であり、生きる道なのだ。

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