私たちは何時も大小取り混ぜて何らかの選択をしていますが、この何事も不確定で「思うままにならない」時代にどの様に対応して良いのか不安を覚えることも多い筈です。
著者は学校教師の家庭に生まれるも、生後まもなく朝鮮に渡り、敗戦による引き揚げでの生活苦、何とか大学入学するが貧困による大学中退、売血による生活維持しつつ、生来の活字好きから編集の仕事にあり付き、ルポライターを経て作家に転身と言う激動の人生を送った体験が詳らかに綴られています。
選ぶ、選ばれるは人生の一大事だ。しかも最近の世相は、「選ぶ」幅が激減して、やれリストラだ、非正規雇用だと、「選ばれる」リスクが大きくのしかかって来ている。一方で私たちの目の前には、自ら「選ばざるを得ない」状況が次々と巡って来る。
私自身は敗戦以来、一度の健康診断も検査も受けずに今日まで来た。いくつかの健康上の問題を抱えつつも、放置して暮らしている。しかし、それも私自身が選んだ道であり、そのことに関しては後悔が無い。
著者は近年、仏教への思いを募らせた著作が多く、本書でも始祖である仏陀の言葉や、法然・親鸞の著作が引用されて、選ぶ・選ばれる際の参考にすべきとしている。
仏陀「自分自身を頼りとして生きよ。そして真理を見失うな」
法然「阿弥陀仏一仏信仰は相互選択的なもの、選ぶ力が大切」
親鸞「分からないままに闇を彷徨い嘆くなら、何かを信じるしかない」
「思うままにならない」世の中では、巧みな言葉だけで励まされる様な時代は。もう終わったのだ。私たちに必要なのは、大声で送られるエールではなく、すれ違う際の一瞬の目配せの様なものではあるまいか。
私が述べたことは、私自身の正直な体験に過ぎない。それが迷いつつ生きる人々の何らかの一助になれば、と密かに願っている。
若い世代には嫌われる老人の昔話物語についても、回想療法と言うアルツハイマー対策での一番の治療法と述べていることにも納得出来る処がありました。
月曜日, 4月 13, 2015
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