月曜日, 3月 09, 2015

文春新書「新・戦争論」-対談版の限界

TVニュース解説で活躍中の元NHKアナウンサーと評論文書多数で知られる元外務官僚で評論家との対談を新書版で纏めたもので、TVや新聞等のマスコミでは得られない評論がありましたが、新書版の悲しさで出典・根拠と言うバックアップに欠ける様に思われました。 名指しはしませんが、領土拡張を画策する中国、自国利益を他国に押し付けるTPPを画策する米国、等を念頭にした下記の分析は納得が出来ます。 新帝国主義とはコストの掛かる植民地を持たず、局地戦に限っての戦争に止めて、資本の投資対象を国外に求めて利益を追求して行く国々のことである。 外交面では、相手国の立場を考えずに自国の立場を最大限に主張する。相手国が怯み国際社会が沈黙するなら、そのまま権益を強化して行く。他方。相手国が必死に抵抗し国際社会も干渉する場合には譲歩する。それは心を入れ替えたからではなく、譲歩した方が結果として極大化出来ると言う判断に依るものである。 韓国朝鮮問題では、韓国人と朝鮮人は別と言う見方もあると論じます。 中国にとっては北朝鮮の労働力と地下資源は魅力で、韓国も中国寄りになって来るので朝鮮半島が丸ごと属国にあると言う戦略を描いていたが、北は離反する動きを見せ、南が属国になりつつあると言う南北が入れ替わる様相となって来た。 これは、三国時代の新羅と高句麗の対立と見ることが出来、あるいは北朝鮮が渤海だとも考えられる。新羅は中国に朝貢していたが、渤海は日本に朝貢していたのだ。北朝鮮としては、同じ朝鮮半島の国とは言え、三国の時代から元々違うと言いたいのかも知れない。 韓国は歴史上、中国の臣となることで生き延びて来たので、経済力と軍事力の増強の著しい中国の方に抱かれている方が、劣化の目立つ米国よりも、心地よいのだろう。 善隣友好と言い、遠交近攻策と言い、自国民を守ると言うのは一筋縄ではいかないことが分かる書籍でした。

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