日曜日, 12月 10, 2006

新聞は生き残れるか−岩波新書

近頃の種々の情報がインターネット、テレビ等で氾濫していますが、私にはその場限りのどうでも良いようなニュースが大半の様な気がします。
インターネットは能動的で自分で選択して見ることが出来るのですが、受動的なテレビ放送では何の意味もない芸能タレントの馬鹿ふざけ番組が多く、視聴者に笑いや雑学を提供はするのですが、真面目に「考えさせてくれる」番組は減ってしまい希有となって来ている様です。

一昨日の日記に新聞とテレビの関連を書きましたので、気になって本屋に行って関連のありそうな2003年4月発刊の岩波新書を購入して読んでみました。著者は朝日新聞で政治部員、論説委員に長年携わっていた人ですが読み進む内に、信頼できる情報提供の雄としての位置を占めている新聞が購読者数を減らして存亡の危機を迎えていると知り驚いてしまいました。
どの家庭でも配達される新聞を購読すると思ったのですが、若い世代を中心に新聞離れが進み、無読者層が増えていると言うことです。

新聞は生き残れるか−岩波新書(中馬清福 著)

新聞普及率というのがある。日刊紙を月決めで購読している世帯が総世帯の内にどの位あるか、その比率のことだ。1984年この普及率は97%だった。日本が世界に冠たる新聞王国であったことは良く知られていたが、それにしても大変な数字である。
ところが、中央調査社のマスメディア・リサーチ(MMR)によると、1991年まで何とか97%で推移していた普及率は、1992年から低下し始め1999年には94.6%になった。
特に若者がひどく、例えば世帯主が24才以下の世帯の普及率は、1984年90.4%あったものが1999年には53.4%迄急落した。15年間で37ポイントの下落だが、内33ポイントは最新10年間で落ちているから、新聞離れに加速がついている。
世帯主が25才から29才の世帯も、普及率は毎年低下し1999年には25%が新聞をとっていない。
このまま進めば2004年には、30〜34才世帯が75%、35〜39才世帯が87%に落ちると推測される。
30才迄の関心事項の順位は、事件、音楽、流行、おしゃれ・ファッション、スポーツ、旅行・レジャー、環境、飲食店、芸能・タレント、就職・アルバイト、と続き、経済は12位、政治は16位だ。1位の事件を除き、日本の一般紙が積極的で無かったテーマである。新聞が若者に敬遠される筈だ。こうした若者の反乱に大いに悩まざるを得ない。

あとがきで次の様に結んでいます。

インターネット系にしろ、テレビ番組にしろ、確かに情報は乱舞していますが、知的な情報となると、専門的分野は兎も角、一般的には満足出来る段階とは言えません。印刷媒体か電子媒体か、それはどちらでも良い。人々に「考えさせる喜び」を与える媒体づくりを急がないと、この国の知的状況は厄介なことになるのではないでしょうか。


どうも記者・編集者を経験している割に文章に迫力が無く魅力に欠けている様に思われ読みにくいのです。即刻読ませる新聞記事とじっくり読ませる書籍文では、文章表現が違うのでしょうか?
結局は読者ニーズに合わせた紙面作りを提唱している様ですが、それにしても全てのニーズに応えられる筈も無く、混迷に困り果てている現状に愚痴を述べている本なのかと消化不良を感じる読後感が残りました。

こんなことを日記に書く私自身もトレンディーな流行に乗り遅れている愚痴を言っているだけかも知れないと自戒に念も出て来て仕方ありません。

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