著者はフランスの歴史人類学者のエマニュエル・トッド氏、日本では、覇権主義の国と言えば中国を思い起こさせるのですが、EU圏内でのドイツの力は圧倒的でドイツ帝国として君臨しつつあると言う。
パックスアメリカーナとして君臨したアメリカの国力が落ちて、世界中でシステムにひびが入り、アジアでは韓国が日本に対する恨み辛みの故に、アメリカのライバルである中国と共謀し始めていますし、ヨーロッパに於いては国力とヘゲモニーからドイツ帝国の体を為しつつある。
戦後のアメリカの戦略は、ユーラシア大陸の二つの大きな産業の国の極、即ち日本とドイツをコントロールすることで成立して来たことが言われています。
日本社会とドイツ社会は、元来の家族構造も似ており、経済面でも酷似、産業力が逞しく、貿易収支が黒字だと言うことですが、日本文化が他人を傷つけないで遠慮するのに対して、ドイツ文化は剥き出しの率直さを価値付けます。
ヨーロッパには発展の余地のある低賃金ゾーンを利してドイツ産業が発展、それ以外の国々の産業システムが壊滅して、ドイツだけが得をするシステムとなっている。
ドイツが頑固に緊縮財政を押し付け、その結果ヨーロッパが世界経済の中で見通しのつかない状況を見ると、ドイツのリーダーシップの下で定期的に自殺する大陸ではないかと懸念するのです。
「ドイツ帝国」は最初もっぱら経済的だったが、今日では既に政治的になっていて、弱体化して来たアメリカに対抗すべく「ヘゲモニー」を掛けて、アメリカと同盟を強化する日本ではなく、もう一つの世界的輸出大国である「中華帝国」と意思疎通を通じ合わせ始めているのは見逃せないとしています。
水曜日, 10月 28, 2015
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