中国の民主化運動に傾倒し、日本での著作活動に転じた後、遂には日本国籍を取得した著者の出自から鑑み、覇権主義を標榜する中国共産党政権には厳しい。
日米同盟を強化し、近隣諸国を属国化を図る中国の囲い込みに奔走する安倍政権は正しいとして、それにエールを送る著作となっている。
習金平の目指す処は、嘗ての中国を頂点とした中華秩序の再建を目指すことで、毛沢東による中華秩序の再建が失敗に終わって40数年、鄧小平路線による富国強兵が達成された今、中華帝国の新皇帝となった習近平は、アジアを支配すると言う中華帝国の復権を目指し、その為には近代史においてその中華秩序をひっくり返した日本と言う国をねじ伏せておくことを必須案件として、その出足から日本に対して高圧・威嚇的態度に出た。
それを察知した安倍政権は、日本の安全保障を脅かす最大の脅威が即ち中国の覇権主義と軍拡と捉え、連携すべき相手ではなく、寧ろ警戒すべき潜在的脅威としたことは明らかだ。
米国の外交評論家キッシンジャーも「中国は平等な国家からなる世界システムに馴染めず、自国をトップ、唯一の主権国家と考え、外交は交渉よりも世界階層秩序で各国の位置づけを決めると考えている」と、警鐘を鳴らしている。
日本は今後どうするべきなのか。
先ずは米国との同盟関係が何より重要で、日本にとって最大の安全保障となっていることは論を俟たない。米国が提唱する「航海の自由を守る法秩序」は誰が見ても、覇権主義的な中華秩序よりも遥かに公正で正義に適ったものだ。
法に基づく平和秩序を守り、中華帝国の野望を封じ込める中核的存在として、中国共産党政権の海洋制覇を阻止して中華秩序の亡霊を葬り去ることが、戦前の歴史を超克してアジアの民主主義先進国となった日本の背負うべき使命であり、生きる道なのだ。
土曜日, 3月 21, 2015
月曜日, 3月 09, 2015
文春新書「新・戦争論」-対談版の限界
TVニュース解説で活躍中の元NHKアナウンサーと評論文書多数で知られる元外務官僚で評論家との対談を新書版で纏めたもので、TVや新聞等のマスコミでは得られない評論がありましたが、新書版の悲しさで出典・根拠と言うバックアップに欠ける様に思われました。
名指しはしませんが、領土拡張を画策する中国、自国利益を他国に押し付けるTPPを画策する米国、等を念頭にした下記の分析は納得が出来ます。
新帝国主義とはコストの掛かる植民地を持たず、局地戦に限っての戦争に止めて、資本の投資対象を国外に求めて利益を追求して行く国々のことである。
外交面では、相手国の立場を考えずに自国の立場を最大限に主張する。相手国が怯み国際社会が沈黙するなら、そのまま権益を強化して行く。他方。相手国が必死に抵抗し国際社会も干渉する場合には譲歩する。それは心を入れ替えたからではなく、譲歩した方が結果として極大化出来ると言う判断に依るものである。
韓国朝鮮問題では、韓国人と朝鮮人は別と言う見方もあると論じます。
中国にとっては北朝鮮の労働力と地下資源は魅力で、韓国も中国寄りになって来るので朝鮮半島が丸ごと属国にあると言う戦略を描いていたが、北は離反する動きを見せ、南が属国になりつつあると言う南北が入れ替わる様相となって来た。
これは、三国時代の新羅と高句麗の対立と見ることが出来、あるいは北朝鮮が渤海だとも考えられる。新羅は中国に朝貢していたが、渤海は日本に朝貢していたのだ。北朝鮮としては、同じ朝鮮半島の国とは言え、三国の時代から元々違うと言いたいのかも知れない。
韓国は歴史上、中国の臣となることで生き延びて来たので、経済力と軍事力の増強の著しい中国の方に抱かれている方が、劣化の目立つ米国よりも、心地よいのだろう。
善隣友好と言い、遠交近攻策と言い、自国民を守ると言うのは一筋縄ではいかないことが分かる書籍でした。
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