日曜日, 6月 17, 2012

40年廃炉は原子力規制委が判断-40年寿命は妥当

政府が脱原発政策の目玉に掲げた、原発の運転期間を原則40年とする大方針が、早くも揺らいでいる。 三党合意では、40年廃炉の文面だけは残ったが、9月に発足する見通しの「原子力規制委員会」が期間を速やかに見直す規定が盛り込まれ、その判断次第では廃炉の文面は有名無実となる。 規制委は国家行政組織法三条に基づく独立性の高い組織で、有識者5人で構成。5人は国会の同意が必要で、今回の修正と同様に、自民党などの意向に左右される。 「40年を超える原発は、例外に当たらなければそこで止めることになっている」と枝野経済産業相は強調したが、先行きは危うい。 電気事業法技術基準によれば、原子力容器や蒸気タービン等高温に晒される機器は、10万時間クリープラプチャー強度に対して安全率2倍にて設計製造されなければならないことになっていましたし、今でもそれが原則だと考えています。 従って、年間6000時間稼働させるとしますと、16年間は安全に使用出来ることになっています。ですから、当初は原子力発電所も16年使用で寿命廃炉とする計画になっていたと思いますが、何時の頃からか耐用年数が30年、40年と延長され、今では60年との説もあります。技術革新の世の中で、発達した予防整備である程度寿命を延長出来ることは理解するのですが・・ 意見具申したのは誰か分かりませんが、政府の言う40年廃炉方針は、通常火力発電30年余の寿命設定から見て一寸長いが、使用材料データ更新も考慮すると妥当ではないかと判断しています。 部品交換し60年超の運転可能とするのは、我田引水の詭弁ではないかと思っています。 40年廃炉を見直す動きの背景には、原子力ムラからの強い巻き返しがある。電力各社でつくる電気事業連合会は1月に「40年で運転制限する技術的根拠の明確化」を国に要望。日本原子力学会も今月、原発は部品交換すれば60年超の運転が可能として、制限は「合理性・科学性に疑問」と反対を表明した。 細野原発事故担当相は40年廃炉を確実にする厳しい基準をつくると宣言していたが、準備はまったく進んでいない。 それどころか、規制機関であるはずの経産省原子力安全・保安院は、東京電力福島第一原発事故について、老朽化の影響は「考えがたい」とする見解を発表。7月に運転開始40年を迎える関西電力美浜2号機の運転延長に道を開く不可解な審査を強行した。 脱原発依存・40年廃炉について政府は明確に約束した。安易な妥協を繰り返し、約束を反古にすることは決して許されない。 同じ様に高温に晒される機器を持つ、自動車、船舶、航空機等はせいぜい20年で寿命とされ、通常は技術革新が20年では格段に進み、旧態依然たる機器は新機種に換装し更新する方が得策とされているのです。 原子力関連では、現状の熱効率の悪い蒸気リアクターから高効率のヘリウムガスリアクターへの技術革新も考えられ、現状の蒸気リアクターに関する電気事業法技術基準だけが例外的扱いで寿命更新することは妥当ではないと思っています。

月曜日, 6月 11, 2012

ダイソンのエアマルチプライアーへの疑問

今年は節電志向が強く、エアコンの替りに高額の扇風機に人気が集まっていると聞き、家電量販店に行ってみました。2万~3万円の種々の工夫をした新製品が並び、結構売れているようでした。 兎に角、中心部と外周部でファン形状を変えたり、ファン枚数を増やして静粛な風切り音となる等、柔らかく一様で自然に吹く風に近い工夫をする技術が発揮されている様で白物家電の好調さはメーカーの努力による処が大きいと感心させられました。 その中で異質を放っていましたのがダイソンのエアマルチプライアー、至って高額で5万円を越えますし、見た目では大きな輪があるだけで羽根が無いのが特徴です。 工学的に言いますと、蒸気エジェクター(Ejector)・空気エダクター(Eductor)を応用したもので、特に突出した技術ではありません。 支柱ポールに内蔵されている遠心式の斜流インペラー(Mixed Flow Impeller)で圧縮された空気を円輪状のスリットから放出して、周りの空気を誘引して15倍の風を作りだす空気エダクター装置なのです。 この斜流インペラーはダイソンのサイクロンセパレータ式掃除機にも利用されているもので、回転数が毎分10万回を越える強力なものですので、高周波騒音が大きいことでも知られています。 通常の改良型軸流式ファンでは、従来の30W動力を半減させ、静音設計で20dBを実現させているのです。 しかしながら、ダイソンのエアマルチプライアーでは40~65Wと所要動力と大きくて節電志向ではありませんし、騒音も改良型軸流式ファンとは較べものにならない程大きいと推測出来ますので、静かな室内で使うには適当では無いと考えるに至りました。

土曜日, 6月 02, 2012

浄土真宗は何故日本で一番多いのか(島田裕巳 著)-幻冬舎新書

日本の主な宗派としては、奈良時代からの南都六宗を始め、天台宗、天台宗から派生した浄土系(浄土宗、浄土真宗)、禅系(臨済宗、曹洞宗)、法華系の日蓮宗等があり、その「宗」の下にはいくつもの「派」が存在する。 浄土真宗では、本願寺派(西本願寺)、大谷派(東本願寺)が、その勢力を二分し、共に大教団となっている。 それら宗派及び新宗教(創価学会)の成り立ちと特徴・現状を分かりやすく紹介してくれているのは有り難く、宗派への理解が少し出来る様になりました。 信徒数は曹洞宗が700万人強、真宗本願寺派が700万人弱と続き、真宗大谷派、浄土宗、日蓮宗の順番になるらしい。 しかし、新宗教の創価学会は信徒1700万人とされる最大の宗教集団であり、その他の新宗教集団も相当数の信徒を抱えているが、日蓮宗から派生しつつも、決別して在家仏教を目指して性格を鮮明にして独立方向にあるらしい。 現在の葬式仏教は、曹洞宗の発案で、死者を一旦僧侶にするべく、戒律を授け、戒名を授けると言う仏教の伝統的考え方から外れる儀式を行うのだが、定着して他の宗派にも伝わって行く。 編み出された葬儀方法を通して、故人の供養と言う領域にも進出して、宗派の経済的基盤を充実させたことは大きい。 民間の霊園が多くなり、其処に墓を求めても、檀家関係を結ばないケースが増えている。檀家は本来、寺を支えるスポンサーとしての役割を果たすものであり、檀家離れは寺の経済基盤を失わせることに結びついて行く。 団塊の世代が消滅した後からは、死亡者数は減り、葬儀の簡略化は一層進み、檀家離れも加速されていることだろう。その時点で、本格的な葬式仏教の危機が訪れる筈だ。 しかし、新宗教を含め多様な仏教宗派が産まれ、それが現代にまで受け継がれていると言うことは、それだけ日本人が仏教に多くを期待して来た証でもあるのだ。 我が家でも、葬儀・49日法要は、葬儀社が紹介してくれた青梅市の和尚にお願いしましたが、納骨式、1周忌法要、3回忌法要は、霊園で近郊の和尚を紹介して貰ってことで、寺との檀家関係は無いのです。