土曜日, 4月 14, 2012
ひきこもれ-吉本隆明(大和書房)
本書は対談集では無いのですが、命題を定めた会話を録音編集したものであり書き下ろし文に較べて冗漫性は否めません。
それでも、我慢して読み続けますと示唆に富んだ提言を発見することが出来ます。
「ひきこもり」は良くなく、ひきこもっている奴は社会に引っ張り出した方が良いと言う考え方に僕は到底賛同することが出来ません。
家に一人でこもって誰とも顔を合わせずに長い時間を過ごす。周りからは一見無駄に見えるでしょうが、「分断されない一纏まりの時間」を持つことが、どんな職業にも必ず必要なのだ。
世の中の職業の大部分は、ひきこもって仕事をするものや、一度はひきこもって技術や知識を身に着けないと一人前になれない種類のものなのだ。
ですから自信を持ってひきこもれと言うのですが、やはり個人では生き抜けないと一般社会的な問題分析を提示するのです。
ひきこもりの人の弱点は、職業を持って自立することが遅れがちなここで、「いい年をして定職に着かない」と非難されることもある。
其処からの展開は、意を決して仕事を見つけることを推奨するのですが、少なからず唐突感があります。
なるべく早く、引っ込み思案ならその自分に合った仕事を見つけた方が良いのだ。何故なら、どんな仕事でも経験の蓄積がものを言うからで、持続と言うことが大切で、ある日突然何者かに成れると言うことは無いと言うことを知っておいた方が良い。
他人に満足をもたらす仕事には熟練が必要であり、又、熟練する程賃金も良くなり、本人にも自分は何かを身につけたと言う実感があります。
「ひきこもり」問題には、吉本隆明も示唆に富んだ提言をしてくれましたが、昔も今も自助努力・他人の助け無しには解決を見つけにくいと言うことで、やはり正解を見つけにくいと言うことなのでしょう。
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