月曜日, 12月 08, 2008

量子暗号通信システム(Quantum Cryptography)

第2回国際量子暗号会議(Quantum Cryptography 2008)が2008年12月1~2日に開催され、NHKBS1英語ニュースで報道されていました。

量子力学の基本原理とされる「ハイゼンベルグの不確定性原理」を利用する技術と言うから驚きです。
「ハイゼンベルグ(Heisenberg)の不確定性原理(Uncertainty Principle)」とは「或る素粒子物質の二つの状態量は同時には正確な測定は出来ず、誤差は避けようが無い」と言う原理で、敷衍すると「量子の或る状態を測定すると量子は必ず別の状態に変化する」と言うことになります。
20世紀物理学の巨星アインシュタイン(Einstein)は、「決まってはいるが人間に分からないだけ、神はサイコロを振らない」と反論し、忌み嫌った理論でもありました。

公開鍵暗号方式は不特定多数の相手と暗号通信を行える技術として普及している。しかし、計算量によって暗号鍵が保証されるパラダイムであり、高性能コンピュータの進歩によっては安全性が崩される可能性もある。
絶対に安全な暗号化技術として「量子暗号」と呼ばれる技術が研究されている。それは「ハイゼンベルグの不確定性原理」に基づいて盗聴の有無を必ず確認することで暗号鍵の安全性が保証される。即ち、量子データ通信中にそのデータを盗み見ようとすると、その量子の状態が変化するためデータが盗聴されたかを認識できる仕組みだ。
一般的な光通信では沢山の光子をまとめて「0」か「1」の情報を符号化させるが、量子通信では光子1個に「0」か「1」の情報を与えるため、光子の変化が厳密に判断できる。

87km長距離通信に成功する等、完成度は高く、光ファイバを活用することが可能。現代暗号と組み合わせたシステムを構築したことにより、実際に製品として納入することも可能だと言う。


しかし、量子暗号通信は通信速度が非常に遅く7.2bpsにしか達しない等、課題克服とはなっていません。
兎に角、素粒子物理学でしか利用出来ないと思われた「ハイゼンベルグの不確定性原理」の工学への適用と言うその進歩には目を見張るものがありますが、通信技術の中核として光子と言う素粒子を問題にするですから、これは必然の方向だったのでしょうか?

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