講談社現代新書「マンション格差」では、東京圏中心で、東海道線、中央線、私鉄では小田急線沿線で、マンションの格差を論じ、購入時の心得や整備法を示し、資産価値をどの様な保持するのかを示唆します。
私は日本住宅公団(現 UR都市機構)が、1980年代に「多摩ニュータウン」に造成したマンション群の一つに、1985年に入居しました。
この団地は1984年完成で、最寄り駅から徒歩15~18分の位置にあり、当時は住宅公団の住宅は「遠くて不便で高い」と言う評価が一般的で、完成から1年経過しても、空き家があったのです。
連棟式低層タウンハウスと中層5階建てマンションの混在する186戸の中規模団地、主契約者は大手の大成建設で、複数の下請け業者が建立、仕様は大成建設が設定していますので、彼等が手掛けていてよく観掛ける郵便局建屋に見えないこともありません。
建物は躯体鉄筋コンクリートに、5cm程のシンダーと言いますか化粧コンクリートを被せ、表面にはシリコーン塗装をしてありますので、メンテナンスは施工しやすいのです。 12年毎の大規模修繕が行われ、シリコーン塗装塗り直しも丁寧な刷毛塗りを指示したことで、半永久的に鉄筋コンクリートの劣化が無いのだろうと思われます。
資産価値は、購入当時は平均3400~3600万円でしたが、メンテナンス整備が良いこともあって、駅から遠いハンデにも拘わらず、半値は確保している様ですし、期待しています。
現状、大都市圏では「ニュータウン」を拡大する必要が無くなっている。嘗て猛烈な勢いで開発された「多摩ニュータウン」では一部の過疎化が進行している。
日本全体では800万戸以上も余っている。そんな状況の中、新築マンション供給は徐々に細って行き、10%未満にまで減り、アメリカやイギリスと同様に、中古住宅が住宅市場の主役となる。その場合、マンションに問われるのは立地の評価で、次に建物の管理状態となり、資産価値が決められて来る。
これまで大量に建設された分譲マンションは、その出口戦略を構築することが迫られるし、今の区分所有法では恐らく処理しきれないだろうが、マンション価値をしっかりと保持し、「格差競争」の中で有利なポジションを維持することが求められる。