それから45年経ちましたが、驚くほど防衛用輸送機は進歩しようとしています。それにつれて調達費用も莫大となり、防衛利権が暗躍する事態となり、賄賂・収賄が取り沙汰されているのは許されることではありませんが、エンジン選定結果そのものは極めて妥当だと思っています。
C-X (Cargo aircraft-X) は、防衛省・航空自衛隊における「次期輸送機」の一般名称で、第一次C-XはC-46の後継として1960年代に計画され、防衛庁技術研究本部と川崎重工業が開発したターボファンエンジン双発の中型輸送機でC-1として採用された。
第二次C-XはC-1の後継として2000年に計画され、防衛省技術研究本部と川崎重工業にて開発が進められている、ターボファンエンジン双発の大型戦術輸送機である。
C-1と比較し積載量は3.75倍・飛行速度は1.2倍、航続距離はC-1がペイロード8t搭載時に約810kmに対し、C-Xは12t搭載時に約8,900kmとなっている。
C-X技術仕様
乗員: 3名(パイロット2名・ロードマスター1名)
寸法: 43.9m L x 44.4mW x 14.2mH
最大離陸重量: 141,100kg
最大積載量: 37,600kg
エンジン出力: 27,900kg(推定)×2
巡航速度: Mach 0.8 (高度12,200mのとき)
巡航高度: 12,200m
航続距離: 0t/10,000km 12t/8,900km 37t/5,600km
装備するエンジンは、ロールス・ロイス(RR)、ゼネラル・エレクトリック(GE)、プラット&ホイットニー(P&W)の3社からの提案を検討した結果、2003年8月にGEのCF6-80C2型エンジンを採用した。CF6-80C2のカタログ価格は1基1,000万ドルである。
選定に際しては、導入されているB747-400(政府専用機)やE-767、導入予定のKC-767が同一エンジンを採用しており、整備面で都合が良いことから決定されたと思われる。海外でも広く普及している為、渡航先での整備拠点もあり、又日本国内のエアラインもボーイング社製の機体と共に、同系統エンジンを600基以上採用しており、信頼性の高さと国内での運用経験も選定の根拠とされている。
この大型ファンエンジンを供給出来るのは、ゼネラル・エレクトリック(General Electric: GE)社、ユナイテド・テクノロジー(United Technologies)傘下のプラット&ホイットニー(Pratt & Whitney: P&W)社、ロールス・ロイス(Rolls Royce: RR)社と、世界に3社しかなく、選定候補は次の様だったと思われます。
P&W候補エンジン: PW-4062 (推力 28,100kg)
GE候補エンジン: CF6-80-C2(推力 27,900kg)
RR候補エンジン: RB-211-524G(推力 27,200kg)
いずれのファンジェットも優れたエンジンですが、私が選定責任を負わされても、燃料消費(Fuel Economy)・運用実績(Flight Experience)・整備体制(Logistics Support)・環境適合(Low Emission)などの観点から、多分GE社のCF6エンジンを選んだと思います。
民間大型旅客機B747開発ではP&W社JT9DとRR社RB211が搭載エンジンを競ったのですが、JT9Dに軍配が上がり、RR社は開発費が嵩んだことで倒産し英国策会社となりました。
遅れを取ったGE社は軍用輸送機C5A‐Galaxy(ペイロード118t:大型戦車輸送可能)搭載のTF39を受注することで、それを民間用に設計変更しCF6シリーズを展開、燃料消費率の優秀さから民間大型旅客機への搭載が増加してP&W社JT9DとRR社RB211を凌駕する事態となりました。
そこでP&W社はJT9Dエンジンを全面設計変更してPW4000シリーズを展開して、3社供給体制を維持して来たのです。
今回のC-X輸送機用エンジン選定問題、山田洋行が防衛利権を掛けて暗躍し賄賂・収賄が取りざたされていますが、選定結果そのものは極めて妥当だと思っています。
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