イギリスのEU離脱(Brexit)に対して、著者であるフランス人のトッド氏は肯定的で、ドイツ支配のEUは瓦解すると言うのです。
イギリスがEUを離脱した最大の動機は、移民問題ではなく、英国の主権回復だったことが明らかになっています。即ち、EU本部が置かれている官僚の跋扈するブリュッセル、或いはEUの支配的リーダーとなっているドイツからの独立だったのです。
その背景にあるのは、グローバリゼーションへの反発で、経済格差が拡大の一途に対して旧来的なナショナルな方向へバランスを戻したのであり、イギリスに続く目覚めが、フランス、そして欧州各国で起きることで、ドイツによる強圧的支配から「諸国民のヨーロッパ」を取り戻すことで、欧州に平和をもたらす理性的な解決策であると確信しています。
そして、日本に相応しいのは、覇権膨張主義の中国への対抗を考えれば、アメリカとロシアだと進言するのです。
安定した対外関係は、安定に向かう国との関係から得られ、日本に相応しいパートナーはアメリカとロシアです。
英米系の地政学者は「海洋勢力(日米英)」と「大陸勢力(中露)」と区別しますが、この2分法に陥るべきではありません。ロシアとの関係構築は、中国の存在を考えると、地政学的に理に適っています。
しかし、アメリカには最早「世界の警察官」を独力で担える力は無く、その意味で日本は自主的な防衛力を整えつつ、アメリカを助けるべく、これまで以上に軍事的、技術的に貢献すべきで、70年以上に亘って維持して来た平和な歴史をアピールしながら、1隻か2隻、空母を造るべきです。
日本国内では、安保法制は憲法違反との声も大きいのですが、安全保障はプラグマティックに考えるべきだと言うのです。
その軍備強化進言は兎も角、安全保障パートナーとして、反日が国是の中国ではなく、アメリカとロシアと言う意見は妥当であろうと判断しています。
月曜日, 10月 17, 2016
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